同級生48人の「AIポルノ」作成した高校生を刑事告発、米国
米ペンシルベニア州ランカスター郊外の小さな町の警察は先月、女子高生数十人とその両親を警察署に招き、困難な作業を依頼した。それは、押収した数百枚もの偽のポルノ画像に自分たちが写っていないかを確認するというものだった。 サスケハナ郡警察署のローレル・ベアー刑事は、女子高生との個別面談の中で、画像の体の部分を隠し、家族からの要望がない限り、少女の顔だけを見せた。現在16歳の被害者の1人は、「写真を見たとき、あまりのリアルさに大きな憤りを感じました」と話す。 ある母親は次のように話した。「画像はとても生々しいもので、娘を知らない人が見たら信じ込んでしまうと思います。娘の画像は30枚以上もありました」 ランカスター郡地方検事局によると、この写真を作成したのは2人の10代の少年だという。彼らは、60人の少女のSNSアカウントから取得したデータをもとに、人工知能(AI)を使って347枚のディープフェイクポルノ画像と動画を作成した。2人は既に刑事告発されている。 被害者60人のうち、48人はフィラデルフィアの西約130キロメートルにある私立校、ランカスター・カントリー・デイ・スクールに通う少年たちの同級生だった。同校は小規模校であり、女子生徒の半数近くが被害に遭った。今回の事件は、米国で未成年がターゲットになったディープフェイクポルノ事件として、過去最大規模とされている。 「このような形でプライバシーが侵害されたことを知った被害者のトラウマは想像を絶するものだ」とヘザー・アダムス地方検事は声明で述べた。当局は、画像がオンライン上に公開されておらず、メッセージングアプリを通じて学校内のコミュニティに配布されたと考えている。 被告は2人とも未成年であるため、検察は彼らに関してこれ以上の情報を公開していない。彼らの両親にコメントを求めたが、回答は得られなかった。
続発する10代によるAIポルノ事件
■続発する10代によるAIポルノ事件 18歳未満がディープフェイクポルノで起訴されたのは今回が初めてではない。今年初めには、マイアミの中学生2人が同様の事件で逮捕・起訴されている。しかし、専門家によると、被害者と加害者の双方が未成年であるディープフェイクポルノ事件で刑事告発に至るケースは稀だという。 ニュージャージー州の学校でも同様のディープフェイクポルノ事件が起きたが、加害者は起訴されず、法的にも学業上も何ら罰を受けていない。被害者の1人の母親は、3月に公表された議会への証言文書の中で、学校に対する不満を次のように述べていた。「女子生徒が被害者意識を持つ一方で、男子生徒は説明責任を逃れている」 地元メディアの報道によると、ランカスターの学校は、昨年末に初めてディープフェイク画像の存在を知らされたが、保護者や被害者が知ったのは、今年初めに2度目の申し立てが学校関係者に提出されてからだという。生徒たちは、学校に抗議するため、11月上旬にデモ行進を行った。保護者の多くも、学校が必要な行動を起こさず、生徒を適切に保護できなかったとして同校を提訴している。 同校の理事会は12月9日、フォーブスに宛てた声明の中で、「今回の問題とそれに対する責任を深刻に受け止めている」と述べ、法執行機関の捜査に協力していると付け加えた。 「当局が2人にかけた具体的な容疑についてコメントすることは適切ではなく、元生徒に関する情報は公にしない。我々が言えることは、地域社会に配慮し、この不快な事件で被害を受けた人々を支援し、生徒の安全に関する学校の方針を見直すことが現在の最優先事項であるということだ」と、同校の理事会は述べた。
Cyrus Farivar