2025年パ・リーグ“新人王”は誰だ!? 低迷西武を救う「伊勢の怪物」、佐々木朗希の穴を埋めるロッテの「155キロ右腕」ほか、各球団のブレイク候補を一挙公開
調子の波は大きいが好調時のストレートはトップクラス
2位に躍進した日本ハムでは、2023年のドラフト1位、細野晴希に注目だ。東洋大時代は、東都二部でプレーすることが多かったが、下級生の頃からスカウト陣の間で評判になっていた左腕だ。4年生になると、大学日本代表でも活躍。U18侍ジャパンとの壮行試合では、最速158キロを出して、大きな話題になった。 ルーキーイヤーの2024年は、左肩を痛めた影響で、一軍では2試合の登板で未勝利に終わったものの、ストレートは最速155キロをマークした。二軍戦は8試合に登板して、1勝0敗、防御率1.27という成績を残している。 シーズンオフに行われたフェニックスリーグでも順調な回復ぶりを見せている。調子の波が大きく、制球力に課題があるとはいえ、好調時のストレートは、一軍投手と比較しても、トップクラスの勢いがある。 さらに、大きく鋭く変化するスライダーは一級品で、ツーシームやフォークといった落ちる変化球も悪くない。日本ハムの先発左腕である山崎福也と加藤貴之は、いずれもベテランで、2025年に33歳となる。細野の成長が、今後のチームにとって大きなカギとなりそうだ。
9月に自己最速155キロをマークした“ポスト佐々木朗希”
ロッテは、メジャー移籍を目指して退団する佐々木朗希の穴埋めが課題となる。有力候補の1人として挙げたいのが、2022年のドラフト3位で右腕の田中晴也だ。 日本文理時代は、2年、3年と2年連続で夏の甲子園にエースとして出場。いずれも初戦で敗退したが、ストレートはコンスタントに140キロ台中盤をマークし、スカウト陣が熱い視線を送っていた。 1年目は主に体力強化とフォーム固めに費やして、二軍戦で5試合の登板に止まった。しかし、2年目は開幕から二軍で結果を残すと、6月に一軍初昇格を果たす。7月3日の日本ハム戦では、5回5安打5失点(自責点0)でプロ初勝利を掴む。結局、4試合に先発して、1勝1敗、防御率1.80。 他球団の編成担当は、田中の高い能力について、こう話している。 「2024年は二軍の先発で投げるのを見ることが多かったですが、投げる度に良くなっているように見えますね。体が大きくて、ストレートに“圧力”を感じます。コントロールが安定していて、ボールが先行することも少ない。何よりも、マウンドで堂々としている姿がいいですね。とても高卒2年目の投手には見えない。もう少し変化球が全体的によくなれば、一軍の先発投手として、十分にやれるのではないでしょうか」 一軍でシーズン最終登板となった9月16日の西武戦で、自己最速155キロをマークした田中。力で圧倒する投球は、非常に魅力的であり、“ポスト佐々木朗希”の一番手として、田中にかかる期待は大きい。 パ・リーグで、チーム防御率最下位となった楽天。先発もリリーフも世代交代が必要だが、リリーフタイプで楽しみな右腕が、2023年のドラフト3位、日当直喜である。 東海大菅生のエースとして、3年春の選抜高校野球に出場。2回戦で、沖縄尚学を相手に完封勝利をおさめる好投を見せて、評価を上げた。2024年は高校卒1年目ながら、二軍でリリーフの一角に定着。チーム3位となる30試合に登板して3勝2敗3セーブ、防御率2.01と結果を残し、10月9日の西武戦で一軍デビューを果たした。身長190cm、体重100kgと日本人離れした体格で、ストレートに威力がある。 加えて、器用さも光る。特にフォークは落差、スピードにバリエーションがあるため、相手打者から三振を奪える。体格に見合う出力が出てくれば、さらにフォークが威力を発揮する可能性は高い。このまま順調にいけば、2025年から中継ぎで一軍定着が期待できるだろう。