中国にある「イギリスそっくり」の街がすごい! 実際のイギリスと違う“たった1つの点”とは?
チューダー様式の建物や赤い電話ボックス。 そして荘厳な教会等が建ち並ぶ街並み。 一見、イギリスの街角に見えるが、実はこれは中国にある街なのだ。 【画像多数】中国にある「イギリスそっくり」の街
上海に作った「イギリス」
上海の中心部から30km、松江区に作られた「テムズ・タウン」は2006年に完成した「イギリスをモデルにして作られた街」だ。 上海市のプロジェクト「一市九町」計画の一つであり、最大1万人が居住できる地域として開発された。イギリスの建築ファームがデザインを手がけ、古い建物や石畳、そしてロンドンだけでなくイギリス各地にあるランドマークを模した「そっくり建造物」を多数建設した。 何と「テムズ川」を模した人工の川まである。 デベロッパーの一社である「恒徳不動産(上海)」のジェームス・ホー氏が「建物はイギリスのものとまったく同じに見えるようにしたかったのです」と語るように、新しい建築物にしては「張りぼて感」は少ない。中国にいながらにして「イギリスを歩いているような感覚」を味わえるエリアに仕上がっている。 イギリス人も驚くほどの「そっくり度」だが、唯一、「本物のイギリス」と異なる点が指摘されている。それは「(イギリスよりも)清潔で、整然としていること」。確かに、特にロンドンの街中で見かけそうなカオス感はなく、道路にはゴミも見当たらない。
定住者はあまりいない…ゴーストタウン?
「テムズ・タウン」を含む開発計画は上海市中心部の過密化を緩和するため、郊外地域に市民を分散させることが狙いだった。しかし住宅の分譲が始まると、中産階級が「住む家」として購入するよりも、富裕層が「セカンドホーム」として購入したケースが多かったという。数年後には空き家となり、現在この地域に実際に暮らす人は少ない。 「住む街」としては人々を魅了しなかったものの、「テムズ・タウン」は結婚式用の写真撮影地としての人気は今も衰えていない。また観光地として訪れる人は多いという。 中国に旅行する場合、「中国らしい場所」を訪れたいと思うのは当然だ。しかしちょっと珍しい体験がしたいなら、「テムズ・タウン」を訪れるのも楽しいはず。「テーマパーク」を訪れたような、そして「どこでもドア」を手に入れたような不思議な感覚を味わえるだろう。
文:宮田華子