女子W杯なでしこ決勝T初戦は中5日日程でオランダに決定。イングランドに完敗した日本は勝てるのか?
長谷川が完全復活する上でも、決勝トーナメント1回戦まで中5日の日程は追い風になる。そして、注目の対戦相手は日本時間21日未明の一戦でFIFAランキング5位のカナダ女子代表を2-1で下し、グループEを1位で通過した同8位のオランダ女子代表に決まった。 地元で開催された2017年のUEFA女子選手権で初優勝するなど、成長著しいオランダには昨年3月のアルガルベカップで2―6と大敗を喫している。しかし、鈴木氏は「ヨーロッパのチャンピオンということを、あまり意識する必要はない」と対戦をポジティブにとらえている。 「ヨーロッパのトップであるドイツやフランス、イングランドに比べれば正直、技術やスピード、パワーとすべての面でレベルは落ちる。昨年のアルガルベカップは、高倉監督が割り切って選手を試していた時期なので結果を気にする必要はない。いまのチームは成長しているし、安定感も出てきている。イングランド戦の後半のようなサッカーを次戦でもできれば勝てる可能性は十分にある」 イングランド戦の失点はともにFWエレン・ホワイトに最終ラインの背後を突かれ、縦へのスピードで遅れを取った末に喫している。しかし、時折顔をのぞかせる悪癖を修正する処方箋もある。 スルーパスの出どころに、必ずプレッシャーをかけることがひとつ。さらにはセンターバックを組むキャプテンの熊谷紗希(28)=オリンピック・リヨン=と、市瀬菜々(21)=マイナビベガルタ仙台レディース=のあうんの連携が必要だと鈴木氏は指摘する。 「2人が横並びのままだとどうしても1対1の勝負になるので、相手のエース格の選手には1人がマークにつき、もう1人がカバーする動きが求められる。これを臨機応変に実践するためには意思の疎通を図ることが必要だが、2点目を失った後などは熊谷が盛んに市瀬へ話しかけていた」 ワールドカップ優勝メンバーの熊谷と若手の市瀬がコミュニケーションを深める上でも、中5日の日程は有利に働く。最適解の先発メンバーと戦い方だけでなく、浮き彫りになった課題を修正する道筋も見えてきたと考えれば、悔しさとふがいなさを募らせたイングランド戦は、負けた時点で終戦を迎える決勝トーナメントで巻き返す上でのターニングポイントになるはずだ。 (文責・藤江直人/スポーツライター)