金融のプロ、香港で再就職困難-5年前の引く手あまたから一転
中国に特化したバンカーは、セルサイド、バイサイド共に就職難だ。管理職人材紹介会社ウェルズリーのエグゼクティブディレクター、シャーリーン・ヨン氏はスキルが転用しにくいとして、投資家向け情報提供(IR)マネジャーも大きな影響を受けたと話した。
ヨン氏は「センチメントは厳しい」とした上で、「今年が峠のように思えるし、そうであってほしい」と語り、バンカーは最低でも20%の報酬減に備えるべきであり、場合によっては「非常に極端」な報酬カットもあり得ると指摘した。
「国運」
香港の中国系証券会社デットファイナンス担当バンカーのヘンリーさんは元同僚が1年余り職を見つけられないことから、たとえ報酬が30-40%カットされても受け入れるとし、「いつ解雇されるか心配だ。収入の原動力は全て機能していない」と述べた。
こうした状況の中、一部のバンカーは生活習慣を変え、出費を抑え、自分の価値を見直している。
エグゼクティブディレクターのワンさんは毎日残業しているにもかかわらずIPO案件をほとんど得られず落ち込んでいたため、昨年1年間、友人から「陰気に見える」と言われ続けたという。実際、自身のキャリアが「時代の終わり」とともに早々と終わってしまったような感じだったと彼女は話した。
ワンさんはドバイやシンガポールに好機があるとみているものの、自分がどのような付加価値を与えられるか確信を持てないでいる。
また、香港で解雇されて中国本土に戻った人は特に、年齢の高さが不利に働いている。
ただ香港最良の時代が終わったと全員が思っているわけではない。
CLSAの最高経営責任者(CEO)を務めていたジョナサン・スローン氏は、好況と不況は香港で生活する上で予想されることだと言う。
同氏は最近、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)のコラムで、「そう、直近の強気相場のフロス(泡)は今のところ終わっている」としながらも、「しかし香港は生き残るだけでなく、これまで通り繁栄するだろう」と主張した。