金融のプロ、香港で再就職困難-5年前の引く手あまたから一転
ゴールドマン・サックス・グループやJPモルガン・チェース、シティはここ1年半の間にアジアで数度にわたり人員削減を行ってきた。
ゴールドマンの元従業員は、解雇をきっかけに自分と同僚は香港にとどまるべきかだけでなく、業界にとどまるかどうかについても考え始めたと話した。
中国・香港市場のIPO減少は、膨れ上がった従業員数を正当化できなくなり、各行がアジア全域でリストラを検討せざるを得なくなることを意味する。
実際に業界を離れたバンカーもいる。昨年、グローバル投資銀行のアナリストの職を失ったヤンさん(24)は求職活動を数カ月続け、コンサルティング会社やベンチャーキャピタル、プライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社の面接を10社ほど受けたが採用には至らなかった。
ヤンさんは結局、月2万香港ドルの賃貸契約更新が迫っていたため、中国本土の実家に戻り、従来型金融以外のキャリアを目指すと決めた。
「競争は以前よりはるかに激しくなっている。PEの求人が1件あれば、数百人の元銀行員から履歴書が殺到する」とヤンさんは語った。ヤンさんら取材に応じた一部の人々は重要なキャリアに関する問題だとの理由で、フルネームを明かさない条件で話してくれた。
香港の金融専門家数を反映する香港証券先物委員会(SFC)の昨年12月時点の免許取得者数は4万4722人と、2021年末から600人余り減った。
金融業界が22年域内総生産(GDP)の約23%、雇用の7.5%を占めていたことを考えると、金融サービス活動の鈍化は香港経済を圧迫しそうだ。
20%の報酬減
ブルームバーグの集計データによれば、昨年の香港IPO規模は前年比56%減の460億香港ドルと、20年余り前のドットコムバブル崩壊以来最低となった。上場件数も約20%減の67件で、10億香港ドルを超える規模のIPOは13件にとどまった。
PE投資会社やベンチャーキャピタルの投資家も打撃を被っている。コンサルティング会社プレキンによると、中国を重視するドル建てファンドが昨年調達した資金は、21年と比較して81%減少した。