佐藤ひらり 東京パラで「君が代」独唱の歌姫 能登のチャリティーライブで熱唱
生まれつき全盲のシンガー・ソングライター佐藤ひらり(23)が14日、東京・品川区の春雨寺ホールで、今年1月の地震と9月の豪雨で大きな被害を受けた石川・能登を支援するチャリティーコンサートを開催した。 【写真】ピアノ演奏しながら、熱唱する佐藤ひらり ボランティアグループと連携し、現地の保育園に電子ピアノを寄贈。小学校や中学校に歌声を届けてきた。「私の歌が、誰かがちょっと前に進む足掛かりになったらいいなと思っています」。これまでも東日本大震災や熊本地震、ネパール地震のボランティア活動にも携わってきた。この日の入場料の全額を能登の子どもたちのために使うという。 ライブはマライア・キャリーのヒット曲「恋人たちのクリスマス」でスタート。「お寺なのにクリスマスの歌で始めました」と笑いを取りながら、作詞作曲した「みらい」「月灯り」「令和」などを続け、約2時間で計18曲を披露した。 今年3月に武蔵野音大を卒業し、その後は社会人として音楽1本でやってきた。そんな1年を表す漢字は「新」だという。「初めてテレビの歌番組に出演し、イタリアで初めてオーケストラの演奏で歌いました。そして(22年に就任した出身地の)新潟県の観光特使だということを実感することも多かった。初めての『新』と新潟県の『新』です」。 来年の目標も語った。「憧れのスティービー・ワンダーさんと共演したい。そしてCDも作って、もっと多くの人に私の歌を聞いてもらいたい。障がいとは関係なく、私の歌に感動してもらえるような、そんな人になりたい」と決意を口にした。 21年8月の「東京2020パラリンピック」開会式で「君が代」を独唱してから約3年4カ月。世界に伸びやかな歌声を届けた歌姫は来年が年女。節目の年にさらに羽ばたこうとしている。 ◆佐藤(さとう)ひらり2001年(平13)5月28日、新潟県三条市生まれ。24年3月に武蔵野音大卒。11年に自費制作CD「みらい」を発表し、売り上げ100万円を東日本大震災の遺児に寄付した。14年にミニアルバム「なないろの夢」でデビュー。21年に三条市で初の「市民栄誉賞」。22年に新潟県の「観光特使」に就任。148センチ、血液型A。