柄本佑、世間のイメージ覆す“新たな道長”を語る「根本は“三郎”であり、家族を思うパパ」
■政治的思惑で依頼した『源氏物語』――すべての根本は「めっちゃパパ」
色恋のもつれも楽しみなところだが、やはりここからの見どころといえばいよいよ誕生する『源氏物語』だ。第31回では、道長の依頼によりついにまひろが『源氏物語』の執筆を開始する。そこには、娘・彰子のもとに一条天皇のお渡りを増やしたいという政治的思惑があった。柄本は、実際に演じてみて「今思うと、もちろん政治的な考えもあるけれど、やっぱり自分の家族の幸せを思ってお願いしに行ったなっていう感じがします」と慮る。「(道長は)まひろの前では、他の人に見せられないような顔や、情けなさを出せる。すがるような思いで『一条天皇が彰子のところに行ってくれないんだ、なんとかしてくれないか』って相談できるのもまひろしかいないし、弱いところをしっかり出せる」と2人の関係を分析した柄本。「(道長は)非常にパパしてます。政治に繋がっていると言うか、もうめっちゃパパしてたような気がします」とお茶目に語った。 道長は『源氏物語』の“最初の読者”となるが、演じる柄本はどう感じていたのか。「道長としてはやっぱり非常に不安なところがあって。きっと冷静には読んでないと思う。『これ、一条天皇に渡すんだよな』みたいなところも考えていたりするから、不安でいっぱいだったと思います」と振り返りつつ、今では「『源氏物語』を書いているまひろの作家としての才は最高に認めています」と分析した。 『光る君へ』での道長とまひろの関係は、恋人でも夫婦でもビジネスパートナーでもなく“ソウルメイト”であるとされている。柄本にとって今作でのソウルメイトとはどんな存在であるか問うと「それは最初の頃から変わっていないんですけど、さらけ出せる人っていうのかな。愛し合うということにしても、憎み合うということにしても……極端な話、本気で決別できる相手。中途半端な間がないっていう印象ですかね」と語っていた。
■『光る君へ』後半の吉高由里子は「マジで、超紫式部!」影響し合う2人
まひろを演じる吉高由里子とは、本作同様大石静が脚本を務め、2020年に放送されたドラマ『知らなくていいコト』(日本テレビ系)でも共演した柄本。吉高の“凄み”を柄本はどう評価するのか。「やっぱり懐の深さ。まひろと道長のやり取りで、大石さんが書かれる台本の中でセリフのない部分に対して、こういう風な表情をされるんだ、みたいな新たな発見があって。もちろん大石さんが導いてくださってるところもありますが、(吉高と)演じることでさらに具体的になった時に、新たな発見がある。まひろと2人の長いシーンなんかは、本当に引っ張っていってもらってるというか、導かれてるというところが非常に大きいと思います」。 ここからの『光る君へ』では、柄本が驚嘆する吉高由里子のシーンが続くという。「もう今撮影してるところでは(『源氏物語』を)バシバシに書いてるんですけど、めっちゃ紫式部ですよ。マジで、超紫式部! 1番最初に見た時、その時は立ち姿だったんですが、内裏に入って、女房装束をお召しになって、やっぱり非常に美しいななんて思ったんです。それ以上に、スタジオに入ったら吉高さんが座って筆の練習してたんですよ。え、式部じゃん! と思って」と興奮気味に語ってくれた。 「どんどん奥が深くなっていっている感じがします。まひろは本気で『源氏物語』に取りかかっている。その表情と目線との芝居のやり取りの時は、ちょっと気を抜いたら道長くんがタジタジになっちゃうぐらいの強さですね。とってもすごいことになっているような気がします」と柄本。吉高の“強さ”に柄本自身も影響を受けているという。「2人の関係値がちょっと変わってくるので、今までの『離れている時間が2人の思いを強めるのさ……!』みたいなこととはまた違う。内裏に入られて、距離もちょっと近くなって。今までとはまた違ったソウルメイトの形だからこその信頼関係と、今まで築いてきたものがより強固になってるなっていう印象があります」。 ついに『源氏物語』を書き始めるまひろと、さらに権力の頂に近づいていく道長。関係は変われどもさらに強まっていきそうな2人のソウルメイトとしての絆に、後半も目が離せない。(取材・文:小島萌寧) 大河ドラマ『光る君へ』は、NHK総合にて毎週日曜20時ほか放送。