【今月見るべき新作映画】大女優ジャンヌ・モローがメガホンをとった3作品をスクリーンで味わうチャンス
発見、感動、思索……知的好奇心を刺激する、映画好きな大人のための今月の新作を厳選! 今月見るべき新作映画(画像)
ジャンヌ・モローの監督としての実力に酔いしれる!『映画作家 ジャンヌ・モロー』
ルイ・マルの『死刑台のエレベーター』やフランソワ・トリュフォーの『突然炎の如く』などヌーヴェル・ヴァーグの傑作を残し、フランスのみならずオーソン・ウェルズやルイス・ブニュエルをはじめ世界中の巨匠のミューズとなった大女優ジャンヌ・モロー。そんな彼女がO・ウェルズに背中を押され、監督として初めてメガホンを取ったのが1976年の『リュミエール』だ。彼女自身が半自伝的な大女優サラを演じながら、4人の女友達の欲望や人生の葛藤を描き出した監督デビュー作は、シスターフッドを扱った最初の映画の1つといわれている。 【写真】ジャンヌ・モローの監督デビュー作『リュミエール』では自らも出演している(中央)
そしてもう1本の国内劇場初公開となるモローの監督作が、伝説の女優を訪ねたインタビュー映画『リリアン・ギッシュの肖像』(1983年)。D・W・グリフィスの『國民の創生』『イントレランス』『散りゆく花』等で儚げな少女役で世界を魅了した歴史的女優が、映画への情熱や女優としての来し方を語る作品だ。「もし子どもがいて、1つだけ贈り物をするとしたら何にしますか」と問われた90歳のギッシュが、90歳とは思えない愛らしい微笑みをたたえて「それは好奇心ね」と答える場面は必見だ。孤独については「プライバシーは唯一残された贅沢だわ」と語り、緑の中の一本道を独り去っていく後ろ姿に監督モローの敬愛と共感が重ねられている。 【写真】ハリウッドの頂点を極めた歴史的女優との対話から、映画への情熱に迫るドキュメンタリー『リリアン・ギッシュの肖像』 前述の『リュミエール』、田舎の祖母の家でヴァカンスを過ごす12歳の少女のひと夏を瑞々しく描いた『思春期』(1979年)を加え、「映画作家 ジャンヌ・モロー」と題して彼女の監督作3本をスクリーンで味わえるチャンスが到来する。 「映画作家 ジャンヌ・モロー」 『リュミエール』『思春期』『リリアン・ギッシュの肖像』の3本を上映 10月11日(金)、新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開 BY REIKO KUBO