WBC侍ジャパン合宿教訓に交通系ICカード利用エリア拡大へ 1駅5000万円 乗降客数少なくJRではなく自治体が予算を組む
「Suica」「SUGOCA」などの交通系ICカードを利用している人も多いのではないだろうか?地方では、まだまだすべての駅には導入されておらず、利便性の向上に課題がある。2024年度、宮崎県や宮崎市などは、予算を組んで導入を進める方針だ。背景には1年前の「WBC侍ジャパン宮崎合宿」があった。 交通系ICカード導入で莫大な費用を?宮崎県に人を呼び込むために…
宮崎県内で利用可能…現在12駅
宮崎県内で現在交通系ICカードを使えるのは、JR日豊本線、JR宮崎空港線の12の駅だ。 2015年から宮崎交通の路線バスとともに利用できるようになった。 しかし利用可能エリアは限られていて、ICカードで乗ったとしても、降車駅が無人駅で設備がなく精算できないなどの問題もある。 そのような事態を避けてもらうため、駅にはICカード利用可能エリアが表示されているものの、気づかずにICカードで乗ってしまう人も多いという。
新規導入駅は「スタジアム」を意識
新たに導入を目指しているのがJR日豊本線の「日向新富」駅とJR日南線の南方から青島までの6つの駅。あわせて7駅だ。 「日向新富」はテゲバジャーロ宮崎やヴィアマテラス宮崎のホームスタジアムの最寄り駅。木花駅は、巨人の春季キャンプ地であるサンマリンスタジアムの最寄り駅。 WBC侍ジャパンのキャンプも度々行われていて、全国から多くの人が集まる時期がある。ICカードが利用できる改札機がないのはかなり不便だ。 2023年の侍ジャパンの宮崎キャンプ期間中は、木花駅を1日平均約3000人が利用。切符を求めて長蛇の列ができ、「プロスポーツキャンプの受け入れ態勢として不十分では?」と、問題視されていた。
便利だがコストの問題も…
ICカードが導入されれば便利になるが、設置費用は改札機、システム改修、チャージ機などトータルで1駅につき5000万ほどかかる。 熊本県では、路線バスで12月中旬以降に交通系ICカードが利用できなくなり、代わってクレジットカードやQRコード決済ができる機器が導入される。 理由は機器の更新に12億円以上もかかること、導入時には国の補助が出るものの、更新時には出ないためである。更新時にも莫大な費用がかかるのだ。 宮崎市は「スムーズに快適に移動できる環境が整備されることで、県内外からの観光客やビジネス客、宮崎市民の鉄道の利便性向上と利用促進を図る」と話す。 新富町によると「ICカードを使って乗ったが、降りられないというケースは最近は減ってはきたが、まだ残っている。 テゲバジャーロ宮崎の試合開催時は1日5000人の利用を目標としているので、ICカード対応の改札機は導入したい」とのこと。 莫大な費用がかかるが、ICカードの利用エリア拡大には前向きであり、今開かれている6月定例会で予算案を提案し、2025年度の利用開始を目指している。 宮崎市は3億円。宮崎県も、宮崎市・新富町に交付する助成金として1億1700万円を予算案に計上している。