ニュースでよく見る核不拡散条約(NPT)って何?
核不拡散条約(NPT)は、核兵器を持つ国を増やさないことで核戦争の危険を減らすことを目指した条約です。核兵器不拡散条約ともいいます。 加盟国は190か国と世界の大半ですが、核保有国のインドとパキスタン、核兵器を保有しているとみられるイスラエルは加盟していません。北朝鮮は2003年に脱退し、その後、核保有を表明しました。日本は1976年に条約を批准(国会承認を経て正式に同意)した加盟国です。 条約の内容は大きく分けて3つあります。 1つ目は核不拡散です。 アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国の5か国を「核兵器国」と定め、核兵器国がそれ以外の国に核兵器を渡したり、核兵器開発に援助したりすることを禁じています。核兵器国とは、1967年1月1日以前に「核兵器その他の核爆発装置を製造しかつ爆発させた国」のことで、5カ国はいわば既得権を持っているわけです。一方で、それ以外の国は核兵器を持たないことを約束します。 2つ目は核軍縮です。条約の加盟国が誠実に核軍縮交渉を行う義務を定めています。 3つ目は原子力の平和利用です。 原子力の平和利用を加盟国の権利と明記。軍事技術への転用を防止するため、核兵器国を持たない国が国際原子力機関(IAEA)の査察を受ける義務を定めています。また平和利用のために他国から技術協力などを受ける権利を定めています。 2013年4月、この条約の運用状況を検討する国際会議で、約80カ国が賛同した「核兵器の非人道性に関する共同声明」に、被爆国の日本は署名しませんでした。「いかなる状況下でも、核兵器が再び使用されないことが人類生存のためになる」という声明の「いかなる状況下でも」という文言が削除されなかったためです。アメリカの「核の傘」に頼る日本としては、アメリカの核使用を否定する声明に賛同することはできないというわけです。