「変えずに変える」もの作り 旧産炭地から長く使える革製品を世界へ 「ソメスサドル」染谷尚弘さん #BOSSTALK
コロナ禍が経営を直撃 経営見直しは「今しかない」と社長就任を決断
――どういう立場で働いていたんですか? 東京に直営店を出店するタイミングだったので、その立ち上げの準備に携わらせてもらいました。 ――経営を任されるタイミングは? コロナ禍の時期の2021年です。直営店舗のほか、商業施設にも店を出していました。そういう店舗が営業を自粛せざるを得なくなり、会社の売り上げも大きく影響を受けました。ビジネスモデル、経営状態が大きく変化を余儀なくされるタイミングであり、会社として組織体制を大きく見直すべきだろうと考え、社長に就任しました。 ――そんな中で経営を受け継ぐ気持はどうでしたか? もう今しかないと思いました。会社が大きく変わらなければいけないタイミングで、名実ともに代替わりするのは必要だったと思います。
目指すのは社員とその家族が幸せになり、社会で必要とされる会社
――経営を引き継ぐことになって、先代や、創業者の祖父の思いをどう感じていますか? 直接的に教えを受けた記憶はあまりありませんが、先代、先々代がやってきたことを自分なりに咀嚼(そしゃく)して、今の時代に合う経営はどういうものだろうかと常に考えていますね。当社の設立の経緯自体が、地域経済の活性化を非常に大きなポイントとしており、現在も地域の方々の雇用を守り、社員や家族のみなさんが幸せになる会社になりたいです。やはり(社会に)必要とされる存在になりたいと思っています。これからも大事にしたいです。
創業60年の節目 自らのもの作りを発信するリブランディングプロジェクト
――今、力を入れていらっしゃることは? 今年で創業60周年を迎え、リブランディングプロジェクトを進めております。テーマは「変えずに変える」。今までやってきたことを180度方向転換するのではなく、今までわれわれが掲げてきたもの作りを、お客様により分かりやすく伝える手段として、リブランディングを使おうと考えています。従来のロゴを少しアレンジし、これを機に、これまで培ってきた技術の最大限に生かし、60周年を記念する限定商品の製作の真っ最中です。 ――ボスとして、どういうことを大切にされていますか? 私は会社の中で年齢的にちょうど中間です。上にベテランの先輩の方もいれば、新しく入ってきた新入社員もいる状況の中で自分がリーダーシップを発揮して引っ張っていくよりは、それぞれのポジションで働くみなさんが一番生きる形で、のびのび仕事ができる環境を作ってあげることが、私の一番やらなきゃいけない役目です。会社としての方向性で、何をして何をやらないかという決断の部分は私が責任を持って取り組まなければいけない仕事と思っています。