西野ジャパンが強敵セネガルに勝つための3つのポイント
最後のポイントは、アンカーを置いて中盤で優位に立て――。 前述したように、ポジションチェンジを繰り返すマネを、サイドバックひとりでは捕まえられない。センターバックがアプローチすることもあれば、ボランチがヘルプに行かなくてはならない場面も出てくるはずだ。このとき、自身のポジションを離れるからといって躊躇していては、たちまちやられてしまうだろう。 たとえセンターバックやボランチが釣り出されても、中央の守備が薄くならないように、アンカーを置くのはどうか。最初からはっきりとアンカーポジションにいる必要はない。ボランチの一角としてプレーしながら、状況に応じてふたりのセンターバックの前にポジションを取る。 もっと言えば、ゲーム終盤、セネガルが猛攻を仕掛けてきた際には、ふたりのセンターバックの間に入り、3バック(5バック)を形成する――そうした役割をこなせるのは現チームではただひとり、長谷部誠を置いてほかにいない。 ゲーム展開に応じて、あるいは攻撃時と守備時に応じて4-2-3-1と4-1-4-1を使い分ける。トップ下兼インサイドハーフにはパスコースを限定しながら追い込むのが上手い香川真司、ボランチ兼インサイドハーフにはボール奪取力に磨きを掛けている大島僚太が適任だろうか。 組織的で強固な守備ブロックを築くセネガルだが、実は細かいパスワークに脆いという弱点が見え隠れする。香川と大島のセットを起用する狙いは、ここにもある。 「敵エンドでは時間もスペースも与えてくれない。そこで逃げてフレームでボールを動かしているだけでは捕まってしまう。積極的に密集にボールを入れていかないと」 西野監督はそう語る。強固な守備ブロックを破壊するには、内部を攻略するのが効果的だ。密集の中で香川がマークを外した瞬間に、大島が縦パスを入れる――。ふたりの能力を持ってすれば、決して不可能なミッションではないだろう。 セネガル戦前日の公式会見の場で、西野監督は、コロンビア戦のスタートメンバーを再び起用することを示唆した。だが、一方で「全員がピッチに立てる状態」「コンディションが悪い選手はいない」「選択肢はある」とも言った。セネガル戦のピッチに立つのは果たして誰か。交代選手も含め、チームの総合力が問われる戦いになる。 (文責・飯尾篤史/スポーツライター)