西野ジャパンが強敵セネガルに勝つための3つのポイント
一方、セネガルにとって最大の強みであるサイドが、実は弱みでもある。サイドバックは攻撃志向が強いあまり背後への意識が薄く、裏を取られやすいのだ。とりわけ19歳の右サイドバック、ムサ・ワゲはポジショニングが甘く、プレーも粗い。 おそらく強烈なサイドアタックに押し込まれる時間も長いだろう。しかし、なんとかボールを奪い取って状況をひっくり返せば、ビッグチャンスを作ることもできるのだ。 このとき、カギを握るのは、サイドハーフの存在だ。 サイドバックをヘルプするため帰陣したうえで、ボールを奪えばポジティブトランジションで相手のサイドバックの裏を取り、状況次第ではゴール前まで飛び出すことが求められる。これだけのタスクをこなすには、フィジカルコンディションが万全でなければならない。 そこで、サイドハーフに武藤嘉紀と岡崎慎司を起用するのはどうか。コロンビア戦で生命線だった原口元気と乾貴士のふたりは消耗が激しいと思われるからだ。 武藤と岡崎はともに守備における献身性が高く、ダイアゴナルでゴール前に飛び出すことができるため、セネガルのサイド攻略に打ってつけの人材だろう。さらに、彼らを起用すれば、原口と乾をポーランド戦にフレッシュな状態で送り出せる利点もある。 マネとサールを封じて、いかにひっくり返すか――。サイドの攻防が勝敗を分けると言っても過言ではない。
世界最高峰のセンターバックを無力化せよ――。第2のポイントが、これだ。 日本の攻撃陣の前に立ちはだかるのは、身長196センチのサリフ・サネと同195センチのカリドゥ・クリバリである。なかでもクリバリは高さと強さに加え、スピードと優れたコーディネーションを備え、世界最高レベルのセンターバックのひとりに数えられている。 その能力は、守備面だけに留まらない。ビルドアップ能力もすこぶる高く、中盤に鋭く正確な縦パスを通したかと思えば、センターフォワードやウイングに極めて高精度のロングフィードを送り込みもする。 そこで、日本の1トップを務める大迫勇也には、まずクリバリにプレッシャーを掛けて攻撃の起点として機能させないようにしたい。 一方、日本人FWの中では最高レベルのポストプレーを誇る大迫といえども、クリバリのチャージを受けてボールを収めるのは簡単ではなく、マークを外してフィニッシュまで持ち込むのは至難の業だ。 ここでサイドハーフに武藤、岡崎というウイングストライカーを起用することの意味が生まれてくる。 ボールホルダーを必ず潰せると思っているのか、あるいは、かわされても自慢のスピードでリカバーできると思っているのか……。クリバリはFWに対して積極的に食いつく傾向がある。 そこで、ウイングストライカーの出番だ。 大迫がクリバリを引き付けたことで生まれたゴール前のスペースに、武藤や岡崎が飛び込んでいく。あるいは、武藤や岡崎がサイドバックの裏を攻略することで、クリバリがサイドのカバーに行かざるを得ないシチュエーションを作る。 クリバリがゴール前から離れれば、大迫や香川が決定的な仕事をするチャンスも増えるというものだ。 いかにしてクリバリを出し抜くか――。このミッションの成否に、日本代表の命運が懸かっている。