宮城県の女川原発2号機再稼働 13年ぶり、福島第1原発と同型 東北電力
東北電力は29日、東日本大震災を受けて停止していた女川原発(宮城県女川町、石巻市)2号機の原子炉を13年7カ月ぶりに起動し、再稼働させた。東日本の原発の再稼働は震災後初めて。過酷事故を起こした東京電力福島第1原発と同じ、沸騰水型軽水炉(BWR)としては全国初となった。原発事故発生後に国内で再稼働した原発は13基目。営業運転開始は12月ごろの予定。 東北電力は29日午後7時に起動に着手。同7時3分から核分裂反応を抑える制御棒137本の引き抜きを進めた。運転員の他、阿部正信所長、原子力規制委の検査官らが中央制御室で立ち会った。30日午前0時12分、臨界に達した。11月上旬に発電を再開し、調整運転や中間停止を経て営業運転に至る。 樋口康二郎社長(国見町出身)は「安全確保を最優先に各種検査・試験、作業などへの対応を丁寧に進めてきた。(再稼働は)震災からの復興につながるとともに、電力の安定供給やカーボンニュートラルへの貢献の観点からも、大きな意義があると認識している」とのコメントを発表した。
2号機は出力82万5千キロワット。1995(平成7)年に営業運転を始めた。震災時は最大約13メートルの津波が襲来し、原子炉起動中だった原子炉建屋地下が浸水。外部電源5回線のうち4回線が停止したが残った電源で冷却を維持し、1、3号機とともに冷温停止した。 再稼働に向けては2013年に始め、約5700億円を投じた安全対策工事が今年5月に完了。国内最大級となる海抜29メートルの防潮堤整備など、事故の防止策を施した。原子炉に核燃料560体を装填(そうてん)する作業を9月に終えた。 原子炉建屋の使用済み核燃料2号機プールに9月末時点で1335体を保管している。再稼働後4年程度で上限の1680体に達する見込み。燃料を一時保管する乾式貯蔵施設2棟を敷地内に設ける計画だ。 ■安全対策 実効性向上が鍵 29日に再稼働した女川原発2号機には、新規制基準に対応した多重の安全対策が施された。国と事業者が福島第1原発事故の教訓をいかに生かし、対策の実効性を高めていけるかが今後の焦点とされる。