宮城県の女川原発2号機再稼働 13年ぶり、福島第1原発と同型 東北電力
東北電力は再稼働に向けて巨額を投じて津波などへの防御を強化した。国内最大級の防潮堤をはじめ、非常用電源、原子炉冷却に必要な注水設備などを配備した。一方で、技術系社員500人のうち4割は原発の運転経験がない。6班・各8人体制の運転班に操作に精通した熟練者を置き、臨機応変な対応を講じるとしているが、知見を継承し、蓄積していけるかが課題とされる。自然災害などの影響が想定内に収まるとは限らないことは福島県の13年7カ月前の事故で示されている。東北電力の関係者は「『想定外』を許さない、不断の努力が必要だ」と強調する。 周辺住民の避難を伴う非常時には、自治体との情報共有や避難誘導の態勢整備が必要とされる。現時点で福島県と宮城県の間に避難者の受け入れ規定はない。県の担当者は「宮城県などから相談があればできる範囲で対応する」としているが、福島第1原発事故では隣県でも多くの一時避難者が出たことを省みれば混乱を最小に抑える仕組みを求める声がある。
林芳正官房長官はこの日の記者会見で「原子力は再生可能エネルギーと共に脱炭素電源として重要だ。安定供給の観点からも安全性の確保を大前提に最大限活用を進める」と述べた。ただ、原発事故の影響が今も続く中での再稼働であり、情報公開を徹底させるなど常に住民の不安払拭への取り組みを続ける姿勢の必要性も指摘されている。 ■財務基盤の回復優先 電気料金、将来的低減の可能性も 東北電力は女川原発2号機再稼働を前提に電気料金体系を構築しており、再稼働後すぐに料金が低減することはないとしている。ロシアのウクライナ侵攻で悪化した財務基盤の回復を優先し、収支の状況を踏まえ料金を検討するとしており将来的には電気料金が低減する可能性がある。