「これからも福島のために」福島レッドホープス・岩村明憲監督
~セカンドキャリア等、グラウンド外の充実を図る
「これまでは監督と経営者の二足の草鞋。これからは経営者が主になるので、さらに球団のことを考えないといけない」と今後についての思いを述べる。 「選手を集めるのが最も重要で難しい。都会球団と違い、野球人口が少ない場所の球団なので集まりにくい。福島県内に野球強豪校もありますが、上で続けたい選手は福島ではなく他のチームを目指しますから」 「福島でやりたい、と自ら来てくれた選手が増えて育ってくれるのが理想。そのためにはセカンドキャリアの充実など、グラウンド外のことも必要になると思います」 好素材が集まりにくい現状がある。「関わった選手が魅力を感じる球団にしていきたい」と続ける。 「引退後に困らないような道を球団主導で作ることも考えています。そのために礼儀や一般常識を備えることで、福島で野球をやっていることが評価されるようにもなりたい。体力はあるはずなので、それ以外の部分も身につけて欲しいです」 「25歳で現役引退して社会へ出た場合、その時点で通常の大卒の人は4年間の社会経験を積んでいます。当然、そこには大きな差が生まれています。福島球団へ在籍中から、その部分を少しでも埋められるようにしたいです」 「僕も若い時はそんなこと全く考えていなかったけど、今は頭も下げられるようになりましたから」と社会性の必要を説く。
~少しでも喜んでもらうことが福島球団の存在価値
「復興という目的があります」と球団の最大ミッションを忘れたことは1日もない。 「2011年の震災から13年経っていますが、復興はまだまだ先です。野球を通じてできることがあれば小さなことでも何でもやりたい。そのために福島球団はあると思います。できることからひとつずつ、少しでもやっていきたい」 「選手の良いプレーが1つでも見られる。チームが試合に勝つ瞬間に立ち会える。興行が盛り上がって楽しい時間を過ごせる。何か1つでも喜んでもらえれば、球団が存在する意味がある。規模は小さくても、福島にある地元のチームができることはあるはずです」 「福島に初めて来た時の気持ちを忘れていない。やってやろうしかないし、その気持ちは全く衰えていないです」 福島へ来て10年が経った。「勝利」という結果は少なかったかもしれないが、球団は地元に確実に根付きつつある。現場の第一線を離れることになっても、岩村監督の存在感はこれからまだまだ必要だ。ここから先、福島レッドホープスの更なる歩みに期待をしたい。 (取材/文/写真・山岡則夫、取材協力・福島レッドホープス)