「これからも福島のために」福島レッドホープス・岩村明憲監督
~全てを犠牲にして競技へ打ち込む覚悟
岩村監督は1996年ドラフト2位でヤクルトへ入団。2007年からはMLBのレイズ等でプレー、2011年に帰国後は楽天、ヤクルトを経て福島へ加入した。主に三塁手として活躍、NPBでベストナイン2回、ゴールデングラブ賞6度を獲得の名手だった。 「アスリートとしてやれることは何でもやってきた」と現役時代を振り返る。だからこそ選手たちの野球に取り組む姿勢について思うことは多い。 「個人的な意見ですが、パリ五輪での柔道・阿部詩選手の号泣は理解できる。やることを徹底的にやったからの涙だったと思う。本気で競技に取り組む人なら、(阿部の涙は)伝わるものがあったのではないか」 「(阿部のように)号泣するくらい悔しい思いをするだけ練習をしているのか? 柔道としての礼儀作法を言う人の意見もわかります。でもアスリートとしては、勝てなかった悔しさに共感できます」 「お前らはどうなのか、と福島の選手に問いかけました。プロ野球選手になるため、全てを犠牲にして打ち込んでいるのか? そこまでの覚悟ができているのか?」 NPB入りを目標に必死になっている選手もいるが、「もっとできるはず」と感じてしまう方が多い。
~「上達する」という共通認識を信じる
自身が現役時代だった頃と状況は変化している。選手への熱心な指導が悪い捉え方をされ「パワハラ」と言われかねない。 「人には平等に1日24時間が与えられている。そこは福島の選手も大谷翔平(ドジャース)も同じ。どう使うか、が重要なので、『やらせる』ことが大事になる時もあります。そこは時代が変わっても同じだと思います」 「プロは上手くなって結果を出すことが必要なので、我々も選手に対して言う時もある。でも、その時には伝え方を間違えないように気を配ります。ただ、『上達する』という共通認識はあるはずなので大きな隔たりはないと思います」 「関係ない立場なら何も言わない。でも監督なので言わざるを得ない」と付け加える。 「向上心を持っている人は苦労を苦労と思わない。努力を努力と言わない。スポーツだけでなく何でもそうだと思います。選手たちがそこに気付いてくれれば、もっと上達すると思う」 「現役時代は自分自身の技術向上を考えれば良いので楽だった…」と苦笑いする。