巨人・岡本和真、仰天打で先制 天井付近懸垂物へ玉入れ「一生にあるかないかのところに入りましたね」
◆JERA セ・リーグ 巨人3x―2広島=延長12回=(13日・東京ドーム) 誰もが目を疑い、天井を見上げた。岡本和が打ち上げた打球は高々と舞い上がり、そして消えた。両チーム無得点の6回1死二塁。森下の初球、148キロ直球を打ち上げた。打った瞬間、バットをたたきつけて悔しさをあらわにしたが、次の瞬間、奇跡が起きた。白球が天井付近の懸垂物に入り込み、落ちてこない。ため息に包まれていた場内は騒然。グラウンドルールに従い、認定二塁打となった。二塁走者の佐々木が生還し、先制点をもたらす貴重な適時二塁打に。「一生にあるかないかのところに入りましたね。僕もボールを見てなかったので何が起こったか分からなかったです」とパワーがあるからこそ生まれた驚きの珍打を振り返った。 【動画】ガックリ一転…岡本和真の珍タイムリーで先制 天井から打球が落ちてこず二塁打に サヨナラのチャンスを演出したのも頼れる主砲だった。延長12回1死。「甘い球を逃さないようにしていました」。中崎の初球、150キロ直球を捉えて、左翼線への二塁打で出塁。大城卓のサヨナラ打をお膳立てした。今季2度目の3安打で2打点。打率4割2分、3本塁打、12打点と打撃3部門でリーグトップをキープし「どんな形でも点を取れればいいなと思ってやっているので、これからも打点を積み重ねていきたい」。圧倒的な成績を残しても、全く満足した様子は見せない。 今季は振る舞いを一層意識して臨んでいる。凡打になりそうな打球でも「当たり前です」と全力疾走を怠らないことがその一つだ。この日の試合でも1点ビハインドの8回無死一、三塁の場面では遊撃へのゴロを打ち全力ダッシュ。遊撃の小園がもたつき、適時内野安打をもぎとった。阿部監督は「そういう姿勢を野球の神様が見てくださっているんじゃないですかね」と目を細めた。凡退後もベンチであえて前向きに振る舞っている。何げないことからチームを鼓舞している。 チームは今季初の5連勝で単独2位に浮上。「今の時点の数字を気にしても仕方ないので、一試合一試合勝てるように頑張っていきたい」。勢いに乗るチームの中心で主砲が圧倒的な存在感を放っている。(宮内 孝太) ◆東京ドームの特別グラウンドルール 〈1〉打球が、フェア地域上の天井や懸垂物に当たった場合は、ボールインプレイとする。ファウル地域上の天井や懸垂物に当たったり、穴や隙間に入り込んだ場合は、ボールデッドとする。 〈2〉打球が、フェア地域内にある天井の穴または隙間に入り込んだ場合、あるいは懸垂物に挟まった場合は、ボールデッドとし、打者および走者には投球当時を基準にして2個の安全進塁権が与えられる。(抜粋) ◆東京Dでの主な天井直撃打 ▽ブライアント(近鉄・90年)天井からつるされた大型スピーカーに直撃して史上初の認定本塁打。推定飛距離160メートルで東京D史上最長本塁打とされる。16年から同スピーカー撤去に伴いこの特別ルールは廃止。 ▽松井秀喜(巨人・02年)右翼へ放った打球は、高さ55メートルの天井の隙間に入る同球場初の珍事となり、特別ルールで二塁打。天井の幕の裏側へ突き抜けた打球はバックスクリーン上部まで転がっていて、2日後に球場職員が回収。直筆サインを入れ、野球体育博物館(現・野球殿堂博物館)に寄贈された。 ▽大谷翔平(日本ハム・16年)11月に侍ジャパンの一員として出場した強化試合で右翼への大飛球がフェアグラウンドの屋根に吸い込まれて消え、特別ルールで認定二塁打となった。
報知新聞社