コーヒーで双葉町に人の輪を…来年2月焙煎所開店へ 秋田出身・深沢さん、愛着湧いた浜通りに拠点
福島県双葉町に新たなにぎわいの場が芽吹こうとしている。浜通りでコーヒーの焙煎(ばいせん)士として活動している深沢諒さん(28)=大熊町=は来年2月23日、双葉町のJR双葉駅東口に焙煎所兼ドリンクスタンド「open roastery Alu.(オープンロースタリー アル)」を開店する。深沢さんは「地域と日常に開かれた焙煎所を通して、人の輪が生まれる空間をつくりたい」と思いを語る。 店を出すのは双葉駅東口から徒歩1分のビルで、1階の一角を改修して焙煎所を設ける。店では焙煎したてのコーヒー豆を購入できるほか、コーヒーをテイクアウトして味わうこともできる。焙煎の見学や体験もできるようにする考えだ。 深沢さんは秋田県出身。秋田県立大時代に1年間休学し、世界一周の旅に出たことで視界が広がったという。教員免許を取得し、大学卒業後は当初、教職に就く想定だったが、2020年7月に三島町への移住を決め、地域おこし協力隊として活動する道を選んだ。 町の観光協会で働く中で、町内で焙煎をしていた「師匠(愛称)」に出会ったことでコーヒーの奥深さを知った。やがて自分でも焙煎するようになり、魅力にどんどんのめり込んだ。 「焙煎を自分の仕事にしてみたい」。そう考え始めた時、楢葉町でシェアハウスと食堂を管理運営していた古谷かおりさんに出会い、住み込みのスタッフとして22年5月に楢葉町に移住した。それから今までの約2年半、浜通りを拠点にイベントなどに出店しながら、つながりを広げてきた。 愛嬌(あいきょう)のある笑顔と親しみやすい性格も相まってイベントで声をかけてくれる人も増え、地域への愛着も自然と湧いた。「友達もできて、この地域を好きになっていく感覚があった」。浜通りに拠点となる自分の焙煎所を設けようと決め、双葉町の物件にたどり着いた。 店名の「Alu.」には「この地に在りたい」という思いを込めた。大好きな旅とコーヒーを大事にした雰囲気の店とする考えだ。深沢さんは「ここに根を張り、旅の途中や旅の目的地としても、ふと立ち寄れる場所でありたい」と描く。
13日まで資金調達
深沢さんはクラウドファンディングで開業資金を調達している。当初は200万円を目標金額に設定し、今月初旬に募集を始めたが、初日で144万円に達し、3日目には目標金額を達成した。現在は「支援者数500人」(26日時点で約220人)を新たな目標とし、引き続き資金調達している。締め切りは来年1月13日まで。
福島民友新聞社