歯のインプラント治療が適している人・適していない人の特徴を歯科医が解説
インプラント治療の事前準備:患者さんが治療前にやっておくべきこと・やってはいけないこと
編集部: インプラント治療を受けるにあたって、患者さんはどのような準備が必要でしょうか? 島田先生: 特別な準備は必要ありませんが、インプラントの長期安定のためには、あらかじめ良好な口腔環境を整えることが大切です。例えば、お口の中にむし歯や歯周病がある場合は、それらの治療を優先的に行います。 編集部: 口腔環境を整えるために、ほかに必要なことはありますか? 島田先生: 歯磨きが上手くできていない方は、ブラッシング指導によるセルフケアの徹底やクリーニングが必要です。これらの前処置を事前に行うことで、インプラントを受け入れるのにふさわしい環境を整えます。 また、持病のある方は、主治医と相談して病状をコントロールしておくことも重要です。これらの準備によって、より安全で効果的なインプラント治療が可能になります。 編集部: では反対に、インプラント治療に際して、患者さんがやってはいけないこと・控えたほうがいいことはありますか? 島田先生: 喫煙は歯ぐきの血流を悪くし、術後の治癒を遅らせる恐れがあります。したがって、喫煙習慣のある方は原則、治療期間中の禁煙をお願いしています。また、不摂生や不規則な生活も避けてください。 さらに、インプラント手術に際しては、十分な睡眠と栄養バランスの良い食事で体調を整えることも大切です。手術前日と当日は過度なアルコールの摂取も控えるようにしましょう。
インプラント治療のそのほかのQ&A:インプラント治療にリスクはある? 食事や日常生活で気を付けることは?
編集部: インプラント治療にリスクや副作用はあるのでしょうか? 島田先生: インプラント治療は安全性の高い治療ですが、稀にリスクや副作用を伴います。リスクを最小限に抑えるためには事前の診査・診断が非常に重要です。 とくに、CT検査は必須で、安全性を高めるために欠かせません。また、定期健診などによる全身の健康状態の把握も重要になります。 編集部: 具体的にはどのようなリスクがありますか? 島田先生: まず、手術に伴う痛みや腫れ、出血などが起こる可能性があります。これらは通常一時的なものですが、稀に術後感染症を引き起こすこともあるため注意が必要です。また、神経に近い部位にインプラントを埋入する場合は、しびれや麻痺が生じることもあります。 長期的な問題としては、「インプラント周囲炎」という炎症が発生する可能性も考えられます。これらのリスクを最小限に抑えるためには、適切な治療計画を立てることが重要です。 編集部: インプラント手術後の食事や生活で気をつけるべきことはありますか? 島田先生: 食事は軟らかいものからはじめ、徐々に硬いものに移行していきます。熱いものや刺激物はしばらく控えるようにしましょう。また、治療部位を強く吸ったり、触ったりしないようにしてください。 歯磨きは、歯科医の指示に従って慎重に行います。さらに、インプラントが安定したあとも定期的に通院し、メンテナンスを受けることも重要です。日々の丁寧なブラッシングにくわえ、定期健診も欠かさず継続するようにしましょう。 編集部: インプラント治療を受けるかどうか迷っている方に、なにか良いアドバイスはありますか? 島田先生: まずは、カウンセリング時に不安や疑問を包み隠さず担当医に伝えることが大切です。小さな不安でも一つひとつ解消していくことで、自分に合った治療法が見えてくるでしょう。 また、カウンセリングやCT検査を含めた事前診断などがしっかり整っている歯科医院を選ぶことをおすすめします。その際、術者の経験も重要な選択基準になります。以上をふまえて、最終的にはご自身の生活スタイルや価値観に合わせて判断することが重要です。 編集部: 最後に読者へメッセージをお願いします。 島田先生: インプラント治療は40年以上の歴史を持つ、エビデンスの確立された治療法ですので、歯を失ってしまった際の選択肢の1つにぜひ加えていただきたいと思います。 お口は命の入り口であり、美味しく楽しく食事ができることは、豊かな人生を送るうえで非常に重要です。インプラントによって、自然な見た目と機能を取り戻すことができれば、皆さまの日々の生活がより充実したものになるでしょう。