NISAを背景に投資信託の残高は過去最高を更新中! 外国株式型の投資信託の残高は全体の過半を占めるまでに増加へ!【投資信託の最前線】
●投資信託の残高は2021年から急拡大 月次では8カ月連続で過去最高を更新中! この度、「投資信託の最前線」という連載コラムを提供させて頂くことになりましたBNPパリバ・アセットマネジメントの藤原延介と申します。 制度が拡充された新しいNISA(少額投資非課税制度)がスタートするなど、2024年は投資信託市場にとって大きな転換期となっています。そこで、第1回は、新NISAが始まった上期(1-6月)の半年間を振り返りつつ、ここ数年の投資信託市場の概況を見ていきたいと思います。 日本で、一般の投資家向けに販売されている投資信託*の残高は、6月末時点で132兆円に達しました(*機関投資家がその大部分を保有するETF[上場投資信託]を除く)。2021年にこれまでの過去最高残高を更新し、2022年は株式相場の調整で減少する場面もありましたが、昨年11月からは8カ月連続で過去最高を更新中です。 ●外国株式型投資信託が直近5年で大幅に増加 全体の53%を占めるまでの存在感に! 投資対象となる資産クラス(分類)別に見ると、外国企業の株式を主な投資対象とする外国株式型の投資信託が69.4兆円で全体の53%と、過半を超えるまで存在感を高めています。5年前の2019年6月末時点では外国株式型は18.0兆円で、全体の28%にとどまっていました。 つまり、この5年間で、外国株式型投資信託の残高は50兆円を超える増加に。その要因の一つには、個人投資家が投資信託を資産運用に活用していったことが挙げられます。 ●次いで増加した投資信託はバランス型や国内株式型 NISAでの積立投資の浸透により投資信託の残高が増加 なお、この5年間で外国株式型投資信託の次に残高の増加額が大きかった分類は、アロケーション型(バランス型)投資信託の7.5兆円増、次いで国内株式型投資信託の6.6兆円増となっています。2018年からスタートした「つみたてNISA」の対象商品が、“一定の株式投資を行っているもの”に限定されたことが、一因と思われます。この対象商品は、新NISAでは「つみたて投資枠」に引き継がれています。 また、投資環境にも要因があります。世界的な債券利回りの低下で債券投資のリターンが振るわない中で、株式の値上がりを反映した部分も大きかったと言えるでしょう。 第2回は、タイプ別の資金流出入額を分析し、投資家の動向をより詳しく解説します。 藤原延介(ふじわら・のぶゆき) 1998年三菱信託銀⾏(現三菱UFJ信託銀行)⼊社後、2001年ロイター・ジャパン(リッパー・ジャパン)、2007年ドイチェ・アセット・マネジメント、2019年アムンディ・ジャパンを経て、2021年にBNPパリバ・アセットマネジメントに入社。投信営業本部マーケティンググループ 部長。ドイチェAMでは資産運用研究所長を務めるなど、約25年に渡り資産運用や投資信託に関するリサーチや投資啓蒙に従事。慶応⼤学経済学部卒。
藤原延介
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