ノスタルジックな拠点施設 旧園舎にアトリエやカフェ入居 連載”まちの世間遺産”/兵庫・丹波篠山市
当たり前にありすぎるけれど、住民が大切にしていきたいもの「世間遺産」―。丹波新聞では、兵庫県丹波地域の人や物、景色など、住民が思う”まちの世間遺産”を連載で紹介していきます。今回は、木造平屋建てのノスタルジックな建物を活用した兵庫県丹波篠山市大山地域の拠点施設「大山ファミリーの郷」です。 事務局が入る大山郷づくり協議会が管理している。チャレンジカフェ、洋裁やピラティス教室、子育てなどのイベント利用、IT関連事業所、洋裁のアトリエショップが入居する。
1949年、大山村立大山中学校舎として建築。62年、丹南中学校大山校舎となり、64年に丹南中学校の新校舎ができたことで大山校は閉鎖。66年に丹南町立第1保育園舎となった。篠山市制が始まった99年に大山保育園に、2003年には西紀保育園大山分園となり、06年、廃園を迎えた。そして、改修後、11年に現施設に生まれ変わった。 昨年3月には、歴史的、文化的、芸術的価値が認められ、市の景観重要建造物に指定された。 施設内で洋服と革製品のアトリエショップ「agarito(アガリト)」を開いている泉温子さん(39)=同市大山上出身=は、保育園時代に通った懐かしいこの建物で独立開業を実現。「昼寝の時の天井の様子や、乾布摩擦したことを思い出す。建物は古いが、できるだけこの思い出の場所で続けたい」。また、大山中時代を過ごした伊勢隆雄さん(77)=同市大山上=は「建物を見ると、野球部時代を思い出す。今も心のよりどころ」と話す。