米インフレ統計警戒するヘッジファンド、ユーロショートのカバー急ぐ
(ブルームバーグ): 為替トレーダーはユーロ上昇を見込むポジションを組んでいる。米国のインフレが軟化し、欧州と米国の金融政策が足並みをそろえる方向に向かうとみる。
向こう1週間にユーロがドルに対して上昇すれば利益の出るオプションへの需要は、2月以来の高水準に上っている。一方、ヘッジファンドと銀行間市場のトレーダーは過去数営業日にユーロのショートを削減していたと、トレーディング状況に詳しい欧州を拠点とする複数の為替トレーダーが明らかにした。トレーダーらは公に話す権限がないとして匿名で語った。
このポジション調整は14日発表された米国の生産者物価指数(PPI)、15日に予定される4月の消費者物価指数(CPI)の発表を前に行われた。これらの数字が予想を下回れば、米金融当局が年内に2回の0.25ポイント利下げを実施する確率が高まり、3回の利下げが織り込まれている欧州中央銀行(ECB)との差は縮まる、というのがトレーダーらの考えだ。
ECBと米連邦準備制度の政策は以前に想定されたほど乖離(かいり)しないとの期待を追い風に、ユーロはドルに対して4週連続で上昇。米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによると、この背景にはヘッジファンドがユーロのショートポジションを過去1カ月で40%程度減らしていたことがある。
4月の米CPI上昇率について、エコノミストの予想は3.4%。前月の3.5%から低下すると見込まれる。コアの数字も同様に減速すると予測されている。米国のインフレ率は年初から予想を上回る数字が続き、市場に利下げ見通しの大幅な修正を引き起こした。
ユーロは現在、1.08ドル近辺で取引されている。200日移動平均を試す水準で、今年の弱気トレンドラインにも挑みつつある。
原題:Hedge Funds Rush to Cover Euro Short Bets Ahead of US Inflation(抜粋)
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Vassilis Karamanis