「キッズトライ」、初めて海を渡る。次なるステージへ、「トライ」に思いを込めて。
台湾での4日間、キッズにとっても「トライ」の連続だったが、「キッズトライ」のイベントにとっても、海を渡った初めての異国での開催は大きな「トライ」だった。この「トライ」に立ち向かうにあたり、向山氏にとって力をくれた存在があった。2018年から4回に渡って日本で開催したこのイベントに参加してくれたキッズのなかから、中高生になって、今度はスタッフとして参加してくれた、イベントに帰ってきてくれた2名の存在だ。 向山氏は語る。「これまでは、『トライ』の大切さ。なんとかキッズに伝えたい。その思いを込めて、このイベントを開催してきました。キッズに向けて、一方向にベクトルを向けてきました。すると、続けていたら、この思いを返してきてくれたキッズが現れた。双方向になったんだな。イベントが線から輪を描き出したんだな。そう思いました。これで、イベントを運営する我々も、もっとバインドの強いスクラムを組むことができるかもしれない。このイベントをもっと大きな輪を描く存在に育てることができることかもしれない。そんな手ごたえを得ることができました」。 ラグビーを通じたジュニア世代の台湾との交流という点においては、2012年より3度の台湾訪問をKSEは開催している。しかしKSEは、スポーツを、ラグビーを通じた国際交流イベントなどを通じて、グローバルリーダーの育成をめざしたいという強い思いから始まったチーム。人材育成を目的として、ラグビーだけでなく、異文化に触れるプログラムなどを加えることで、さらにスケールを大きなものにして、2018年に立ち上げたイベントが「キッズトライ」だ。 その「キッズトライ」が初めて海を渡った。今回の台湾での「トライ」は、これまで時間をかけて蒔いてきた種から、芽が生えてきた感触を得られたものであった。また一方で、芽を育てていくという次なるステージに進んだこともまた、強く感じたものであった。 「『トライ』して、壁を乗り越えるためには、チームが束になってスクラムを組む必要があることを、あらためて今回、参加してくれたキッズから逆に教えてもらいました。そして今後、我々の思いを未来につなげて、叶えていくためには、一緒に強いスクラムを組んでくれる仲間がさらに必要だということも、キッズから伝えてもらったと思っています。キッズの明るい未来、そのためのグローバルリーダーの育成、それをラグビーを通じて実現したいという私たちの思いに少しでも関心を寄せていただいて、一人でも多くの方に、どんな形ででも、活動の輪に加わっていただきたいという思いでいっぱいです」 向山氏の言葉である。 ラグビーを通じて社会貢献を果たす。これは、ラグビーという競技の未来にとって必要な視点。その一翼を担おうとトライし、奮闘するKSE活動には目が離せない。ラグビーの未来のためにも、その活動を応援したい。 (文:櫻井公博)