衰退しつつある上海語の保存、人気TVドラマが焦点当てる
【東方新報】中国で上海市を舞台にしたドラマ『繁花(英題:Blossoms Shanghai)』が大ヒットしている。2023年12月下旬、ドラマは北京語版と上海語版の両方で公開され、衰退しつつある上海語の保存と継承をめぐって視聴者や専門家の間で議論を引き起こした。 ドラマの監督は上海市出身の香港映画監督・王家衛(ウォン・カーウァイ、Wong Kar-wai)が務めており、原作は作家の金宇澄(Jin Yucheng)氏の小説『繁花』だ。誰もが新世紀のチャンスを待ち望んでいた1990年代の上海市を描いている。ドラマは、初期の株式市場のチャンスをつかんで億万長者になろうとする野心的な青年、俳優の胡歌(Hu Ge)が演じる主人公の阿宝(A Bao)が成長する物語だ。 しかし、多くのネット視聴者の目がくぎ付けになったのは、上海語版の『繁花』である。 一部の視聴者は、学校や職場で標準語に取って代わられつつある上海語を他の人が学べるようにと、このシリーズの短い動画をシェアしている。 復旦大学(Fudan University)中国語中国文学科の陳忠敏(Chen Zhongmin)教授は、上海出身かそうでないかに関わらず、知り合いのほとんどが上海語版の『繁花』に興味を持っているという。 「彼らは、方言が上海の文化の独特な魅力をどのように伝えることができるのかに興味があるのです」と陳氏は話す。また、最後に上海の方言でテレビドラマが制作されたのは1990年代だろうと付け加えた。 一部の専門家は、上海市民の間では方言を保護する必要があるという意見が一般的であるため、このシリーズは上海語の継承に大きく貢献できると考えていると語った。 上海大学(Shanghai University)の上海語研究の専門家である丁迪蒙(Ding Dimeng)氏は、政府や社会が方言の保護に十分な注意を払わなければ、方言は絶滅の危機にひんするだろうと指摘した。上海の多くの子供たちは上海語を流ちょうに話せなくなり、その影響により両親も上海語で会話しなくなったという。丁氏の意見に同調する住民もいる。 孫慧娟(Sun Huijuan)さん(65)は、孫が小学校に入る前は上海語をよく話し、幼稚園の頃は授業で教えられなくても方言を話すことができたという。「しかし、小学校に入ってからは家で方言で何かを尋ねると、北京語で答えるようになった」 と語った。 上海語は、上海に住む外国人の間で人気を博している。米国出身で上海に10年以上住んでいるバーナビー・ナドラー(Barnaby Nadler)さんは、上海に引っ越してから上海語の特別クラスを受講したという。しかし最近は、公共の場で上海語で話す人をほとんど聞かないという。 上海市統計局の最新の数字によると、2022年の上海市の定住人口は2476万人で、そのうち1000万人以上が他地域からの移住者である。 上海市当局は近年、地元の方言を守るためにいくつかの努力をしており、一部のバス路線や新しい地下鉄路線では上海語の放送が追加されている。(c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。