<独自・ウクライナ現地>自衛隊車両、東部戦線で戦闘任務に ライフルホルダーにはFN SCAR【2】(写真 9枚)
◆ドネツク州の前線地帯に自衛隊車両
日本からウクライナに供与された自衛隊車両の1/2トントラックが、東部ドネツク州の最前線で人員の移送や弾薬を運ぶのに使われていることが、現場兵士の証言で分かった。話を聞いたのは兵士2人。いずれもウクライナ国防省指揮下の外国人義勇兵部隊に所属。(ウクライナ東部ドネツク州/玉本英子・アジアプレス) <ウクライナ現地報告>自衛隊車両、東部戦線ドネツク州でロシア軍との戦闘任務に 現地取材で兵士証言【1】(写真 8枚)
◆ドアのライフルホルダーには89式小銃でなくFN SCAR
兵士Bは、ベラルーシからの義勇兵で、年齢は40歳。流暢な英語で話した。ロシア軍のウクライナ侵攻当初に義勇兵部隊に志願し、戦っているという。 ― どんな任務でこの車両を使っていていますか、実際の使用感などを教えてください。 兵士B: 任務内容については話せない。でも、このミツビシは道なき荒れ野を走っても快適で堅牢だし、使い勝手は素晴らしい。最初はこれが20年ぐらい前のクルマだなんて信じられなかったよ。このクルマの性能は抜群だ。ただ、これは戦車のような代物ではないことも忘れてはならない。
― 日本国内では、戦争に巻き込まれる懸念もあるとして、武器を送るべきかの是非について議論がありました。あなたは前線で戦う兵士としてこのことについてどう思いますか? 兵士B: 日本は主権国家として、自国の国益があるのは当然だし、この世界紛争においても同様に、その国益に基づいて判断しているのだと思う。日本はロシアとクリル諸島(北方領土)問題も抱えているしね。あそこは俺の考えからすれば、日本に帰属する領土だ。 日本から受け取るいかなる物資も我々の役に立つだろう。なにより高品質だ。それらは前線では、それに見合ったふさわしい場所で使われるだろう。
◆ウクライナ支援と防衛装備移転
ウクライナへの自衛隊車両提供は、昨年5月、G7サミットで岸田首相が来日したゼレンスキー大統領に自衛隊車両提供を伝えたのを受け、防衛省において駐日ウクライナ大使に引き渡し式典が行なわれたものだ。ダークグリーン色そのままの自衛隊車両の提供は、「軍用も含む用途で使ってと日本が提供してくれた」とウクライナ側が受け止めるのは当然だ。軍事利用を避けたければ、送る前に赤や白に塗り替えておけば、消防や救急の用途で使われただろう。