中村時広・愛媛県知事に聞く(全文4完)「インフラ整備、複数視点で判断」
インフラ整備「コストメリットだけでは判断できない」
── 基礎自治体のほうから、県に対して要望が来たりもあると思います。例えば、人口が減少していくということになると、インフラ整備をどれぐらいやっていくのかというようなことも考えていかなきゃいけないのかなと思うんですけれども、隅々までインフラ整備するようなところを目指していくのか、それともある程度、人口減少している自治体なり、コストメリットが出せなさそうなところとかは見極めるのか。そのさじ加減というのは、どうやっているんですか。 コストメリットだけで判断することはできないと思うんですね。例えば、そこに人はいる、しかも今すぐにいなくなるわけではないですよね。不便だから減ってきている場所もあるし、構造的な問題で減ってきている場所もあるし、いろいろあると思うんですけれども、例えば道路一本とってみても、じゃあそういうところの便宜性を向上させるために道路をつくるんだということだけで考えるならば、これは費用対効果でいったら、あまりプラスはないと思います。 でも、そこに、この産業を育成させるためにどうしても必要であるとか、あるいは災害が起こったときの最後の命の道になる、あるいは、そこだけではなくて、ここを通過することによって、全体に災害が起こったときに物資の供給ができるようになるという観点で分析していくと、また違った価値というのが生まれてくるんですね。そこらあたりをよく見極めながら、社会資本の整備というのは図るべきだと思っています。 大きな高速道路とか、こういったものは、もう国がしっかりやっていただかないと困るんですが、そこをどう活用して、県道とか市道とかにつなげていくかというのは我々の仕事だと思っています。
50年後の未来像「地理的なハンディ、克服していると夢見たい」
── メリハリというか、いろいろな複数の観点から施策を打っていらっしゃるなというのが全体的に感じられるんですけれども、ただ、人口が緩やかに減少していくのは、これは日本全体でそうというような状況の中で、最後に、50年後の愛媛県の未来像なりというのを知事からお聞かせいただけますか。 50年後、僕はもうこの世の中にいないのでわからないですけれども、四国というのは地理的なハンディがあるので、まだまだこれからの課題って多いんですけれども、例えば、新幹線すらない。道路の改良率も、ブロック別に見たら、四国というのは、ブロックで全国では一番低い。そういうところはやっぱりちゃんと補っていかないと公平な戦いができないんですよね。 だから、そこはもうできているだろうということは夢見たいと思いますし、それを生かして、やっぱりチーム力を将来も発揮して、それを通じて活気と可能性が存続している愛媛県であってほしいと思いますね。 ── 本日はありがとうございました。 はい。どうもありがとうございました。