中国、輸入車への25%関税示唆-EV調査期限控えEUをけん制
(ブルームバーグ): 中国は大型エンジン搭載の輸入車に対する関税の税率を最大25%に引き上げる用意があることを示唆した。貿易を巡る米国および欧州連合(EU)との緊張が高まっている。
在EU中国商業会議所(欧盟中国商会、CCCEU)はX(旧ツイッター)に掲載した21日付の発表文で、関税引き上げ検討の可能性について「内部者」から情報を得たと説明。実施されれば米欧の自動車メーカーに影響し、EUとの関係に「重大な」影響を及ぼすだろうと付け加えた。
これを受け、22日の株式市場では、関税引き上げによる影響を最も受ける恐れがある欧州自動車メーカーの株価が下落。メルセデス・ベンツ・グループとBMWはいずれも一時2%余り下げた。
EUは中国政府の電気自動車(EV)補助金が同国の自動車メーカーに不当な利益をもたらしているとして調査を行っている。中国のEV輸出業者に対し、調査の暫定結果と追加関税を課すかどうかを6月5日までに通知することになっている。この期限を控え、中国政府はEUに対し、報復の示唆を強めている。ユーラシア・グループによれば、EUが追加関税を課すことを決めた場合、1カ月後に実施される可能性がある。
EVに関する調査が発表されて以来、EUと中国の間で貿易を巡る緊張が急激に高まっている。今月の習近平国家主席の訪欧は、緊張緩和にはほとんどつながらなかったもようだ。習指導部は、中国製EVに対する関税率を100%に引き上げると発表した米国に追随しないようEUをけん制している。
中国の過剰生産能力、早期解決期待できず-日米経済摩擦に倣う展開も
ユーラシア・グループのアナリストらは、「中国の報復的な貿易調査や警告は、EUの動きに対する抑止にはなっていない」と21日のリポートで指摘。「EVに関する調査によって、EUは中国の補助金と過剰生産能力に対抗するという強いシグナルを中国政府に送りたいと考えている」と分析した。