中国、輸入車への25%関税示唆-EV調査期限控えEUをけん制
欧盟中国商会は発表文で、21日付の環球時報に掲載された中国自動車技術研究センターのチーフエキスパート、リウ・ビン氏のインタビューに言及。リウ氏はこの中で、排気量2.5リットルを上回るエンジンを搭載した輸入車に対する関税率を一時的に引き上げるよう促した。
中国は昨年、それに該当する自動車を25万台輸入。リウ氏は、輸入車への税率を最大25%に設定することを世界貿易機関(WTO)の規則が認めていると指摘した。中国商務省のウェブサイトにある関税の検索ページによれば、欧州から輸入されている乗用車には現在、15%の税率が適用されている。同省にコメントを求めたが、現時点で返答はない。
コンサルティング会社イントラリンクの自動車・モビリティー慣行責任者、ダニエル・コラー氏によると、トヨタ自動車とメルセデス・ベンツ、BMWが最も大きな影響を受ける見込み。
中国の自動車輸入の大半は高級車であり、2023年にはポルシェやアウディ、レンジローバーが上位10ブランドに入った。追加関税が実施されれば、メルセデスのスポーツタイプ多目的車(SUV)「GLE」やSクラスセダン、ポルシェのSUV「カイエン」などの大型エンジンモデルが影響を受ける可能性がある。
トヨタの「レクサス」ブランドは昨年、全体の5分の1を超える18万台を販売し、輸入車総合ランキングのトップだった。中国が全ての国からの輸入を対象に関税を課した場合、トヨタは貿易摩擦の巻き添えに遭う。
中国の輸出急増に対する懸念が世界で広がる中、EV業界は特に注目されている。中国がバッテリーのサプライチェーンの大部分を支配し、世界のどの国・地域よりも多くのEVを生産していることが背景にある。国内で価格競争と景気低迷が続く中、中国の自動車メーカーは海外進出を進めている。昨年は155万台のEVを輸出し、その約40%が欧州向けだった。
中国外務省の汪文斌報道官は22日の定例会見で、自動車を巡る欧州との対立についての質問に対し、そうした問題は対話を通じて解決されるべきだと答え、「われわれは欧州側からの関連声明に留意しており、欧州が自由貿易を支持し保護主義に反対するコミットメントを遵守すると望んでいる」と語った。