どこか淋しい「電報」の廃止論~携帯電話やSNSで大きく変わった連絡手段の歴史
「電話帳」も姿を消していく
電話番号を調べる手段として、案内サービス「104」がなくなると共に、紙の電話帳「タウンページ」も同じ2026年3月の発行が最後になる。会社や商店などが掲載されているもので、個人の電話番号を載せた電話帳「ハローページ」の方は、すでに新規の発行を終了している。「電話帳」と言えば"分厚い"冊子の代名詞でもあった。ページいっぱいに並べられた世帯主の名前と住所、そして電話番号のリスト。個人情報が管理されている現在では、まさに"遺産"となった存在だろう。
天気予報ダイヤルも…
気象情報を聞くことができる「177」のサービスは、ひと足早い2025年3月末に終了となる。運動会や遠足の前日などは、この「177」をよく利用して、録音された天気予報を聞いたものだ。昭和時代の末期には、まだ全国で年間3億件以上の利用があったが、2023年度は550万件余りと、ピーク時の2%にまで少なくなったという。スマートフォンなど携帯電話で、天気の情報を入手する時代になった。電報、番号案内「104」、電話帳、そして天気の「177」、いずれも暮らしの中に欠かせなかったツールだった。それぞれのサービスの去り行く姿に「ありがとう」と言葉をかけたい思いである。 冒頭の入社内定の電報文「サイヨウナイテイス」の後には「ダクヒオデンポウウタレタシ」(諾否を電報打たれたし)と続けられていた。電報を受け取り、電報で答える。今では信じられない"短文のキャッチボール"である。昭和という時代も遠くなった。 【東西南北論説風(518) by CBCマガジン専属ライター・北辻利寿】 ※『北辻利寿のニッポン記憶遺産』 昭和、平成、令和と時代が移りゆく中で、姿を消したもの、数が少なくなったもの、形を変えたもの、でも、心に留めておきたいものを、独自の視点で「ニッポン記憶遺産」として紹介するコラムです。
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