トヨタが時速300キロの「空飛ぶモビリティ」日本で初飛行! 「東京から東富士まで25分」 クルマなら4倍かかる? 25年にはドバイで運行目指す! トヨタとJobyの共感とは
―― eVOTLの特徴の1つはヘリコプターなどと比べると「音が静か」ですが、それ以外に優位性はどこにあるとお考えですか。 ジョーベン:1つ目は「安全性」。複数のレイヤーで冗長性を持たせています。これは旅客機の安全性の確保の考えと非常に似ています。 2つ目は運行上の「経済性」です。エンジンで推進力を生む航空機は保全やオーバーホールが大変ですが、電気で推進力を生む機体だと航空機自体がシンプルな構造になるので保全コストも抑えられます。 3つ目は「スピード」です。300km/hで飛べるので日本の都市間を速く効率よく繋ぐ事ができるはずです。
―― 将来的には乗客が支払うコストはヘリコプターよりも安くなる可能性はありますか。 ジョーベン:考え方としては「タクシーよりも5倍早く移動できるけれども料金が同じ」を目指してます。 最先端の技術は「技術的にできること」と「法律の元でやっていい事」にギャップになると思います。 今後は国ごとの競争になると考えています。交渉や実験をしている中で、どこが1番早いでしょうか。そして日本はどうでしょうか・ 私たちはドバイ政府と6年間の独占商業権、承認を受けています。 今考えているのは2025年末までにドバイでサービスを開始することを目指しています。 日本に関しても航空局の人達は新たな可能性に対して非常に積極的に関与していただき、飛行に関する様々なルールの検証していただいています。 中嶋:ただ試作機で何かしようとすると結構大変なんです。 今日もヘリポートの所で飛ばしたかったのですが、聞くと「ヘリポートのスペースだと足りません、まだ実績がないのでもっと広い所で」と言われてしまいます。これは水素の時と同じですね。 豊田:そういう意味でも日本の頑張っている企業を応援してほしいですね。 日本で「成長」とか「新しい技術」と言うならば、それは規制を含めて新しい未来づくりが必要です。 共感で一緒に未来を作ろうと言うムードに官庁も入ってほしいですね。 ―― 今回のパートナーシップにより、豊田家4代の空への想いが実現しそうな想いがありますが、その辺りに関してはどうでしょうか。 豊田:私は4代で完成するとも思っていません。この想いと言うのは1代で無理です。 だから、大事なことはジェネレーションを超えても「その軸をブラさない」であり、それには大きな夢がない駄目だと思っています。だから、その夢を多くの人に応援してほしい。 これまでトヨタがやってきたのは、クルマも量産化し、「一般の人でも乗れるクルマをつくる」事が目的でした。 そういう意味では、eVOTLも同じ考えです。 だから、「世界で速く飛ばしたい」ではなく、多くの人に移動の自由、そして困ってるものを直していこうというMobility for allの考えなので、いい意味で煽ってほしいと思います。 ジョーベン:これから新しい“日常的”なモビリティとして新しい領域に入っていきますが、単にAからBに移動するのではなくて、より安全な移動、より速い移動、そしてもっと美しい形での移動ができるようにしたいと思っています。 これから創る未来は本当にワクワクしますが、今までも、それからこれからもやろうとしていることはトヨタとのパートナーシップがなかったら、何もできなかったと思っています。 ―― ちなみにトヨタのマスタードライバーは豊田章男さん(=モリゾウ)ですが、このeVOTLで飛行する日はいつでしょうか。 豊田:私もさっき聞きましたが、ジョーベンさんから「Soon」と言われました(笑) ※ ※ ※ ちなみに東京から今回の試験飛行を行なったトヨタ東富士研究所までクルマで向かうと通常で1時間半~2時間、休日などで渋滞が発生するとそれ以上の時間がかかります。 しかし、eVOTLであれば渋滞はゼロな上に僅か25分で辿り着くことが可能だと言います。 距離と時間の感覚を大きく変える可能性としての「空のモビリティ」と言う新たな選択肢、実用化がとても楽しみです。
山本シンヤ