インフレが残した教訓…IMF「国ごとの統制には限界、通貨政策の協力が必要」
「世界経済見通し」発表前の政策報告書
この2年間世界中を席巻した高物価時代の幕引きに、各国の通貨政策協力が大きく貢献したという分析が出た。伝染病や戦争が触発したサプライチェーンの麻痺によるインフレーションは、各国の中央銀行単独では統制が難しいという話だ。対外依存度の高い韓国もやはり通貨政策の共助が必須だという提言が出ている。 国際通貨基金(IMF)は22日(現地時間)の「世界経済見通し」の発表を控え、最近公開した政策報告書でこのような分析結果を報告した。IMFの「世界経済見通し」は、最初の章で「世界経済見通しおよび政策勧告」を提示し、後続の章に経済懸案に関する独自の調査報告書を盛り込む。 IMFは「大引き締め:今般のインフレから得られた見識」という見出しの報告書を通じて「グローバル次元の引き締めは個別国家の通貨政策に比べてより効果的」だとし「貿易可能な商品、特に原材料の価格を下げうる」と話した。 新型コロナウイルス感染症の流行によってサプライチェーンが麻痺したのに続き、ウクライナ・ロシア戦争でエネルギー価格も高騰し、世界は物価が急激に上昇した。米国の消費者物価指数(CPI)の上昇率は2022年6月に9.1%まで急騰し、欧州連合(EU)も同年10月に物価上昇率10.6%を記録。韓国も2022年7月、消費者物価上昇率が24年ぶりの最高値である6.3%を記録した。 当時、各国は高騰する物価を抑えるために利上げに踏み切った。各中央銀行が個別の判断により利上げを始めたが、こうした措置が世界的な高物価を抑制することに寄与したという話だ。 報告書は、主要国の中央銀行が現実より3四半期早く金利を引き上げたとすれば、物価上昇率の頂点はさらに約2ポイント低くなっただろうと分析した。引き締めが遅れた場合には反対の結果が出た。 今回の分析結果と同じく重要なのは、高物価を抑制した「経路」だ。グローバル財貨市場は「原材料→中間材→最終商品→輸出」の流れが国境を越えて行われる。IMFの分析結果、利上げ時点が遅れるほど農業、鉱業、エネルギーなどの原材料部分でさらに高いインフレが発生した。 報告書を作成したIMFのエミネ・ボズ研究局副所長は「グローバルな引き締め政策の共助は、原材料など貿易が可能な商品の価格にも効果的な方式で下方圧力を加える」と話した。世界をつなぐサプライチェーンの一番前から引き締めの効果が発生し、物価上昇の圧力を緩和する効果が現れるという。 こうした結果は、対外依存度の高い経済である韓国にも示唆するところが大きいというのが専門家の意見だ。仁荷大学のチョン・ソラ教授(経済学)は「グローバルサプライチェーンの麻痺と国際エネルギー価格の上昇にともなう高金利基調は、韓国銀行の自主的な通貨政策だけでは対応が難しいということを、この報告書は示している」と話した。続けて「国際的な通貨政策共助と共にサプライチェーンおよびエネルギー供給の多角化などにも努力しなければならない」と補足した。 アン・テホ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )