「ライドシェア」解禁1カ月、ドライバーが見た実態 ドライバー確保や所得水準はどうなっている?
業界大手の日本交通も1万件超の応募が来たという。総じてタクシー事業者側から聞こえてくるのは、「想定以上に応募者の数は多かった」という意見だ。ただし、条件を聞いたうえでの辞退者や不採用になっている割合も非常に多く、研修期間中などでまだ待機組が残されていることも明記しておく。 では、どんな層がドライバーとして働いているのか。複数のタクシー事業者の話によれば、「大半が本業で車を使用している方。特に個人事業主の多さが目立つ」という。そのうち9割が男性で、30~50代が占める割合が多い。原則タクシー会社とドライバーの間では、3カ月程度のパートタイムや業務委託契約を結ぶ。
■気になる所得水準は? 所得については社により多少の違いはあるが、概ね時給換算で1300~1500円前後に加えて、1時間あたりの売り上げ(3000円超過分がライン)に応じて成果給が支払われる。都内では「約200人のドライバーが時給1700円(手取り)の仕事を得られた」との報告もあり、ボリュームゾーンとなる収入はこの辺りになりそうだ。 実際に参画したドライバーの声に耳を傾けてみよう。介護タクシーで働いてきた40代女性は「隙間時間に働きたかった」としたうえで、こう話した。
「本職が稼働しない時間に働けるライドシェアに挑戦してみたいと思いました。研修や座学の実習が思っていたよりも長くて、安全のためには必要なことだと感じました」 販売業を営む個人事業主で、複数の副業を同時に掛け持ちしている、という大木さん(仮名・40代男性)がこう明かす。 「メインの仕事が閑散期や暇な時間があるため、これまでも空いた時間に別業種で送迎のドライバーとして働いてきましたが、昨今のタクシーバブルが気になり応募したんです。複数ある副業の選択肢の中で、もっとも効率がよいものを探していた。その中でとりあえずライドシェアを試してみたという感じですね。1日4時間程度の週1勤務なので、本業への支障はありません。稼ぎも思っていたよりもいい。ただ、もう少し稼げるように勤務時間の制限は緩和してほしいですね」