低料金プラン、競争激化 携帯大手3社4~6月期にも影響 ソフトバンク、PayPay営業益が大幅改善
携帯電話大手3社の2025年3月期第1四半期(4~6月)連結決算が出そろった。KDDIとソフトバンクは増収・営業増益、NTTドコモは携帯事業の収益減で増収・営業減益となった。主力の携帯電話事業で低料金プランの顧客獲得競争が激化。携帯電話の利用者をポイントプログラムで囲い込み、「経済圏」を広げる争いが一層過熱している。 【関連写真】2021年春の携帯通信料金値下げの影響がほぼ底を打った24年3月期決算 KDDIは、本業の通信事業がプラスに転じたほか、DX(デジタルトランスフォーメーション)や金融などの成長領域が伸び、増収・営業増益。携帯電話は、マルチブランド通信ARPU(1契約当たりの平均売上高)収入で前年同期比29億円の増益となった。楽天からのローミング(相互乗り入れ)収入は同62億円減だった。 注力領域のDXは人工知能(AI)対応のビジネスプラットフォームや物流、BPO(業務アウトソーシング)が伸長し同54億円の増益。金融事業は、通信事業との相乗効果を狙ったサービス「auマネ活プラン」の契約数が100万件を突破するなど好調で同46億円の増益となった。 高橋誠社長は「付加価値サービスを拡充し通信の成長にも貢献させていきたい」と語った。 ソフトバンクは、売上高、営業利益とも第1四半期として過去最高を記録。主力の携帯電話を含むコンシューマ事業は、通信料値下げの影響から脱却し増収・営業増益となった。スマートフォンの契約数は前年同期から4%増加し132万件増の3090万件だった。 エンタープライズ事業はソリューションサービスが伸びて増収・営業増益。LINE・ヤフー事業を含むメディア・EC事業も増収・営業増益で、ファイナンス事業もPayPayの営業利益が大幅に改善し初の営業黒字を計上した。 宮川潤一社長は「今後は収益の柱として大変期待している」と強調した。 NTTドコモは増収・営業減益。携帯電話事業を含む柱のコンシューマの営業収益(売上高)は前年同期比2.5%増の1兆989億円。営業利益は、d払いアプリといった金融・決済などのスマートライフは126億円の増益だったが、モバイル通信サービスの収入減と販売強化施策費の増加でコンシューマ通信が276億円の減益となり、同6.8%減の2067億円だった。 法人事業は、PSTN(公衆交換電話網)のマイグレーションに伴う費用増などで74億円の減益となり、営業収益は同1.7%減の4303億円、営業利益は同3.2%減の687億円となった。
電波新聞社 報道本部