【試乗】BMW新型「R1300GSアドベンチャー」海外試乗インプレ! 新機構によってさらに高みへと引き上げられた“GS”
BMWから新たに発表されたR1300GSアドベンチャー。その特徴的なスタイリングや新機構が装備されたことで大きな話題となっているのは周知だろう。そんなR1300GSアドベンチャーをスペインで行われた試乗会で堪能してきた。 【画像】R1300GSアドベンチャーをギャラリーで見る(16枚) 文/Webikeプラス 鈴木大五郎/写真:BMW Motorrad
日本で主力となるであろうコンフォート仕様は身長165cmのライダーでも安心感抜群
昨年10年ぶりのフルモデルチェンジがおこなわれたBMW伝統のボクサーエンジンを搭載するGS。1250から1300になって、走行性能は明らかに新世代のものとなったことは間違いない。しかし、そのスタイリングは好き嫌いが別れたように感じられた。いや。これはニューモデルが登場した際の慣例行事のようなものでもある。 それよりも、コンパクトさが推し進められたフィット感の良さに個人的には好印象をおぼえたのであるが、アドベンチャーの王者としての押しの強さが減少したことに違和感を覚えたライダーも少なくなかったようだ。 そんな声があがることを想定していたのだろうか。1300のアドベンチャーは「ちょっとやり過ぎじゃない?」と感じさせるほどの迫力をもって登場した。 スペイン・マラガ近郊で行われたプレス試乗会で用意されたマシンは欧州でのスタンダードといえるべき仕様。シート高は870mmとなるが、車高調整機構により停車時は30mm下がる。165センチという身長では840mmのシート高をどんなシチュエーションでも問題ないとは言い切れないものの「ちょっとこれは無理かな?」と感じさせるほどのイメージを断ち切るには十分であった。度が上がると30mm車高が上がることで(これが本来の車高であるから、戻ると表現するほうが正しいか)幅広いシチュエーションで快適な走行性能を確保する。
ジェントルな反応、おおらかなハンドリングでGSらしさは色濃く継続
R1300GSは従来モデルに対し剛性が高まり、よりリニアでロードモデルかと思わせるようなフィーリングを持っていた。アドベンチャーも基本は共通であるものの、燃料タンクが30リットルに増大されたほか、足回りの設定によるものか、スロットル操作に対する反応がジェントルに感じられる。ストローク感ある足回りの影響も大きいだろう。ハンドリングもおおらか。これまで多くのライダーがイメージするGSらしさはこのアドベンチャーのほうが色濃く感じられたのである。 いっぽうで、その万能具合はやはり揺るぎのないものだった。高速走行での安定性と快適性。ワインディングでの軽快なハンドリングと想像以上の速さ。そしてオフロードでの走破力とコントロール性。 ベースに存在する確かな設計による頼もしさに加え、最新の電子制御が安全性や快適性に貢献しているのがはっきりと感じられる。 昨年のR1300GS登場時。そのパフォーマンスの向上具合には驚かされたものであるが、今回。それと同じくらいの衝撃を受けたのが、BMW入魂の新機構。オートメイテッド・シフト・アシストタント。通称ASA(エーエスエー)である。クラッチレバーを持たず、オートマチックモード(シフト操作も可能)とシフトペダルによってギアチェンジを行うマニュアルモードを装備する。 オートマチックとなるDモードを選択し、意地悪く極低速域でその振る舞いを確認するも、違和感はない。半クラからの微妙な領域を見事にコントロールしてくれている。大柄なマシンだからこそ、クラッチ操作を忘れてマシンホールドや他の操作に専念出来るメリットは大きい。 シフトチェンジのタイミングも完璧といえるほど。「俺よりも上手いよ!」とプライド高きテスター達のなかで高評価を得ていたのも納得である。トルクフルで守備範囲が非常に広いエンジンだからというマッチングの良さも見逃せないポイントだろう。 また、もうちょっとキビキビ走らせたいとか、まったり走らせたいと感じたのであればそれに見合ったライディングモードを選択すれば完璧具合はさらに高まる。 シフトアップのみならず、シフトダウンのタイミングも完璧に近い。様々な状況を読み取って制御は行われているとのことだが、フロントブレーキ圧やその減速具合による適切なタイミングである。強めに減速をかけると、気持ちよく適切なシフトダウンが行われていく。自分だったら面倒くさがってそのままのギアで走ってしまうようなところでもしっかり仕事をしてくれる。逆にもうちょっと低回転で走りたいなんて状況であれば、ライディングモードの設定でほとんどの要望は満たされるであろう。万が一自分のイメージと違うというのであれば、マニュアルモードに変更して自分のタイミングで変速すればいいだけである。 500キロほどの様々なシチュエーションのなかでマニュアルモードで走行したのは多分50キロ程度。これもテストであるからの数値であり、そうでなければもっと少なくなったと思われる。 オフロードで故意にリアをスライドさせて走りたい等、かなり限られたシチュエーション以外はほぼオートマ一択となるのでは感じたのである。 シフトアップのみならず、シフトダウンのタイミングも完璧に近い。様々な状況を読み取って制御は行われているとのことだが、フロントブレーキ圧やその減速具合による適切なタイミングである。強めに減速をかけると、気持ちよく適切なシフトダウンが行われていく。自分だったら面倒くさがってそのままのギアで走ってしまうようなところでもしっかり仕事をしてくれる。逆にもうちょっと低回転で走りたいなんて状況であれば、ライディングモードの設定でほとんどの要望は満たされるであろう。万が一自分のイメージと違うというのであれば、マニュアルモードに変更して自分のタイミングで変速すればいいだけである。 500キロほどの様々なシチュエーションのなかでマニュアルモードで走行したのは多分50キロ程度。これもテストであるからの数値であり、そうでなければもっと少なくなったと思われる。 オフロードで故意にリアをスライドさせて走りたい等、かなり限られたシチュエーション以外はほぼオートマ一択となるのでは感じたのである。 いっぽうで、それを選ばないという選択肢は残されている。やはりクラッチ操作あってのバイク。そしてそれが楽しみにつながるという一面は不変でもある。とくに今までなにも不満を感じていなかったライダーにとっては不必要なものなのかもしれない。 しかし自動車のオートマチック同様、快適さと同時に操作の余裕から安全性につながるという面もあるだろう。そのうえで、4輪以上にいろいろと操作しなければならないことが多いこともあって、ライディングのエキサイトメントが減少するということにはあまり繋がらないようにも感じられた。 BMWモトラッド初となる機構。そこにGSを選んできたという気合。ここでつまずいたら、これから先つきまとう可能性がある悪い評価。そんな懸念を完全に払拭する出来栄えであった。 新時代に突入したR1300GSの世界をさらに高みに引き上げたと感じられたのである。
鈴木大五郎
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