トランプ氏勝利で大混乱か、各国中銀の利下げ見通しに不確実性
ブルームバーグ・エコノミクスは、「トランプ氏当選は、世界経済にとって広範囲にわたる関税の大幅引き上げにつながり得る。同氏は中国からの輸入品に対して60%、それ以外の国に対し20%の関税を賦課する構えだ。そうなれば、米国の平均関税率は20%を超え、20世紀初頭以来の高水準となる。米国の最も緊密なパートナーであるメキシコとカナダが最大の打撃を受けるだろう」と予想した。
ナティクシスのアジア太平洋地域チーフエコノミスト、アリシア・ガルシアエレロ氏は、中国人民銀行(中銀)が政策緩和をさらに急がざるを得なくなる可能性があり、元相場を押し下げかねないと指摘。しかし、米金融当局が政策のペースを減速させる場合、近隣の中銀はさほど急ぐ必要はないかもしれないという。
ガルシアエレロ氏は「米国市場は歓呼の声を上げるかもしれないが、アジア全域の経済は大きな敗者となる恐れがある」と述べ、「トランプ氏の政策は、中銀が最も必要としている状況で利下げの余地を狭めることになる」との見方を示した。
大統領選結果の余波は欧州にも伝わった。特に、ロシア軍の侵攻に対抗するウクライナへの米国の支援が減少することを懸念する東欧ではその傾向が顕著だった。米国と欧州連合(EU)の関係が冷え込む事態を懸念したトレーダーは、ユーロを対ドルでパリティー(等価)に向け押し下げた。
原題:Trump Win Wreaks Havoc on Global Rate-Cut Expectations (1) (抜粋)
--取材協力:Jana Randow、Alexander Weber、Qianwei Zhang、Argin Chang、Anisah Shukry、Grace Sihombing、Ruth Carson、Ruchi Bhatia、Saikat Das、Iris Ouyang.
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Katia Dmitrieva, Tom Rees