投資詐欺被害に遭いやすい人ってどんな人?
投資詐欺や振り込め詐欺のニュースを見聞きするたびに、「なぜ、こんなことでだまされてしまうんだろう」「私だったら、絶対だまされない」と思うことがよくあります。冷静に考えれば、常識的に考えれば、詐欺から財産を守ることは難しくありません。しかし、そんな人の心の隙に詐欺犯は忍び寄ります。どんな人が詐欺被害に遭いやすいのか、詐欺にひっかからない方法とは? 行動経済学の考え方から、経済コラムニストの大江英樹さんが解説します。
自分は特別な存在?
世の中、金融詐欺や投資詐欺あるいは振り込め詐欺など、お金にまつわる詐欺事件というのが後を絶ちません。冷静に考えてみると、どうしてあんな荒唐無稽な話にだまされてしまうのだろうというケースがたくさんあります。そんなことはあり得ないのに、と思うような事件ばかりです。これを単に“欲が深いからそんなことになるのだ”とか、“お年寄りは判断能力がないから”といった理由で片付けてしまうのは簡単です。 でもそんな簡単なことだけではなく、周到に仕掛けられた心理的な罠が存在するとしたら、どうでしょう?詐欺犯がそこまで考えてやっているかどうかはわかりませんが、どうやらこういう金融詐欺などに引っかかるケースには行動経済学から見た心理的な罠があるように思えます。 例えば、典型的な投資詐欺のパターンとして、「上場すれば絶対もうかる新規公開株」とか、「年利20%にまわる特別な債券」といった類の投資商品話がよく登場します。しかもこれはターゲットを絞って「あなただけに特別に案内します」とささやいて勧めてきます。人間は多かれ少なかれ、自分は他人よりも優れているとか、価値が高いと思う傾向を持っており、これを行動経済学では「自信過剰バイアス」と言います。誰もが人より上だということはあり得ないはずなのにみんながそう思ってしまう傾向があるのです。したがって、“あなただけに特別に”と言われて決して悪い気はしません。 投資詐欺にひっかかる人の多くが地位の高い人であったり、かつて高かった人であったりします。こういう人は、本来であれば頭もよいでしょうし、冷静に考えられる能力は人よりも高いはずなのに、なぜコロッと引っかかるのでしょう。この理由はおそらくそうした“エラい”人が、「自信過剰バイアス」の強い人だからといえるのではないでしょうか。