Mr.Childrenは、自分が潰されそうなぐらい大きな存在――30周年に桜井和寿が語る「これから」の20年
売れて一番良かったことは、売れることを気にせず作れること
30周年にリリースされるベスト盤『Mr.Children 2011 - 2015』『Mr.Children 2015 - 2021 & NOW』。その『Mr.Children 2015 - 2021 & NOW』には、新曲2曲を収録している。なかでも「生きろ」は、コロナ禍だからこそ、その曲名とともに鮮烈なインパクトをもたらす。 「歌詞を書いてる時点で『生きろ』っていう言葉が出てきたわけではなくて、歌入れをして、最後の歌詞を歌い終えてから、エンディングで何か叫びたかったんですよね。たぶんいろんなことが呼応して『生きろ』っていう言葉に行き着いていると思うんです。曲が持ってるものや、アレンジが持ってるものの強さもそうだし、コロナ禍だったっていうことも大きく影響してると思うし」 「追いかけろ 問いかけろ」「失くしたものの分まで / 思いきり笑える /その日が来るまで / 生きろ」といった命令形が頻出する歌詞を世に出すことに、迷いはなかったという。 「プロの作家としては、これはすごく強いキャッチをつけられたなっていう気持ちです。デモのエンディングのときに、ほぼアドリブで『生きろ』って叫んだ瞬間の僕は、きっとプロの作家ではないんですよね、でも、この曲に魂が宿った。もうひとりのプロの作家としての僕が、歌い終えた後に『今のはいいキャッチだったな、採用しましょう』って言ってるような。それを行ったり来たりできるから、プロでいられてるんだとは思うんです」 「燃え盛る 湧き上がる / 想いは今も変わらねえ」と言い切る歌詞も、鋭く聴き手の胸に刺さる。 「できるだけ邪念を捨て去ったところで音楽を作っていきたい、歌っていきたいっていう気持ちはずっとあると思いますね」 その「邪念」とは、他のミュージシャンがそうそう成就できないものだ。 「『売れたい』とか。売れて一番良かったことは、売れることを気にせず作れることですね」