Mr.Childrenは、自分が潰されそうなぐらい大きな存在――30周年に桜井和寿が語る「これから」の20年
いつも「やっていけんのかな」と思っている
今もなおJ-POPシーンに君臨するMr.Childrenを、桜井は「もう自分が潰されそうなぐらい、とてつもなく大きな存在」と表現する。そんなMr.Childrenから、逃げたくなるときはなかったのだろうか。穏やかで柔和な表情、フラットなトーンで語っていた桜井が、思わず苦笑する。 「それはもう、いつもいつもです。『やっていけんのかな』とか」 しかし、現在開催されている30周年記念ドームツアーのタイトルは「Mr.Children 30th Anniversary Tour 半世紀へのエントランス」。半世紀、つまりあと20年は活動を続けることを宣言しているのだ。 「ものすごく調子がいい状態のときは、『いくらでもいける』って思うときがあるんですよ。調子がいいときは、もう自信満々なわけです。だけど、自信がなくなってるときは、『この曲は俺には響くけど、世の中の人には響かないかもな』みたいなときもありますよ(笑)」
日本人の心を最もつかんできたソングライターのひとりである桜井でも、そんな波がある。そんなときは、できあがった楽曲をメンバーやスタッフに聴いてもらうという。桜井が重視するのは、Mr.Childrenという巨大な存在のソングライターならではのものだ。 「大衆性があるかどうかっていうことだと思うんです。自信があるときは、『中学生の子が聴いても、同年代のおじさん、おばさんが聴いても、これ感動しちゃうよ』って思えるんです。でも、自信がないときに『大衆性はどうなんだろうな』ってなったら、『これは俺のコンピューターの中に眠らせておこうかな』みたいなときもあります」 大衆性がないとしても、桜井個人の作品として、ソロ名義でリリースすることは考えないのかと問うと、桜井は潔いまでに否定した。桜井は、これまでソロ名義の作品をリリースしたことが一度もない。 「僕が責任を持って監修し、魂を込めて歌える作品はMr.Childrenでいいかなと思ってます。Mr.Childrenというバンドで歌うものと、僕ひとりが歌うものとでは、ほんとに不思議だけど、響き方が全然違うので。それはどういうマジックがあるのか、分析できてないし、分析したくもない。でも、たしかに僕はMr.Childrenとして歌ったほうが伝わると思うし」