「世界が注目する“アメリカ雇用統計”と“自民党総裁選”の気になる政策」愛と経済の伝道師“宗さま”こと宗正彰が解説
本部長・マンボウやしろと秘書・浜崎美保がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「Skyrocket Company」。毎月第2水曜日に、我々が知っているようでよく知らない「お金」や「経済」の仕組みなどを、専門家の方に詳しく解説してもらうコーナー「スカロケ資産運用部」をお届けしています。 9月11日(水)の放送では、愛と経済の伝道師“宗さま”こと株式会社アイ・パートナーズフィナンシャル 上席執行役員の宗正彰(むねまさ・あきら)さんに、「世界が注目する“アメリカ雇用統計”と“自民党総裁選”の気になる政策」というテーマでお話を伺いました。
◆先月に続き月初に大きく動いた日本の株式市場 その要因は?
浜崎:それでは今回、宗さまには「世界が注目する“アメリカ雇用統計”と“自民党総裁選”の気になる政策」についてお話しいただきます。 やしろ:日本の株式市場は先月8月初めの乱高下に続き、今月9月に入ってまたすぐに大きく動きましたが、なぜこのタイミングなのでしょうか? 宗正:先月8月の初めに、日経平均株価は史上最大の下げ幅と上げ幅を連日で記録しました。そしてまた、9月に入ってすぐに大きく動き始めた。株式市場を動かす要因は常にいくつかありますが、今はその1つがアメリカの景気後退懸念です。アメリカの景気は後退するのかしないのか、それを判断する指標として世界が注目しているのが、アメリカの雇用統計です。 アメリカの雇用統計は、毎月第1金曜日にアメリカの労働省が発表します。夏時間の時は日本時間の21時30分、冬時間の時は22時30分に発表されます。その内容を見て、(投資家などは)アメリカの景気は今後どうなるのかと予想します。アメリカの景気は、日本の株式市場にも影響を与えますから、それもあって最近は月初の第一週目、特に週末から株価が大きく動いています。 アメリカの景気(GDP国内総生産)の約7割が、個人の消費活動なんですよ。収入が安定しなければお買い物はできない、つまり雇用情勢の影響が大きいわけですよね。そしてアメリカのGDPは世界のGDPの約2割を占めていますから、世界経済も動かしますし、世界中が注目するということです。 やしろ:世界中が注目するアメリカの雇用統計ですが、その内容と特に見るべき点について教えてください。 宗正:アメリカの雇用統計には、文字通り雇用情勢に関わるデータが10項目以上含まれています。 やしろ:そんなにあるんですか? 宗正:中でも注目されているものが3つあります。1つが非農業部門の雇用者数。農業部門を含まない雇用者数です。そして2つ目が失業率で、3つ目が平均時給。 非農業部門の雇用者数について、なぜ農業部門を含まないかというと、農業に従事する人の数は景気にあまり左右されないからです。雇用者数が増えれば増えるほど景気は良いという見方になります。 そして2つ目の失業率。失業率の計算方法は国によって異なります。アメリカの場合、失業者の数を労働人口で割って算出します。失業者の数は「16歳以上の働く意思を持つ人(働く意思はあるが職についてない人)」をカウントします。働きたくない人は最初から職を求めていませんから、「失業者」とは言わないわけです。労働人口は、失業者数と就業者数を足し合わせた数です。 そして3つ目の平均時給。これはイメージしやすいですよね。平均的な時給が上がれば上がるほど、個人消費が拡大しやすくて景気にも良いだろうという見方です。 やしろ:アメリカの雇用統計とマーケットの動きはどのように関係しているのでしょうか。 宗正:大事なことは、事前の予想水準と実際に発表された数字に、どれ位の開きがあるかということです。マーケットは、事前に予想した数字を瞬時に織り込んでいきます。世の中の投資家が「大体これくらいだろうな」と予想した瞬間から織り込んでいる、だから実際に出た数字と開きがあるとそこでまた動くわけです。要は事前の予想と比較して、発表された水準や内容は良かったのか悪かったのか、それを反映する形で株式市場や金利、為替市場は動きます。 例外的な動きもあるので一概には言えませんが、雇用統計の内容が事前の予想よりも良ければ株価は上がりやすい。雇用統計が改善して景気が過熱していると判断できれば、アメリカの政策金利の引き上げにつながるわけです。逆だと、政策金利は引き下げ。アメリカの政策金利が引き上げられるということはドル高につながりますから、つまり円安・ドル高になりやすいということです。