大谷翔平の開幕戦 朝4時起きセンバツ球児も「見ないわけには」
世界の野球ファンが注目した20日の米大リーグ開幕戦。第96回選抜高校野球大会に出場する選手たちも例に漏れず、多くが宿泊するホテルなどで観戦した。中には観戦のために睡眠時間を削る選手もいたが、大谷翔平選手(ドジャース)とダルビッシュ有投手(パドレス)の初対決に刺激を受け、21日に甲子園で躍動した。 【写真特集】大谷翔平、ダルビッシュの開幕戦 ◇「少しだけ寝る時間が…」 21日午前9時から東海大福岡との1回戦が組まれた宇治山田商(三重)。選手たちは午前4時に起床予定だったため、野球部で推奨する8時間の睡眠を取るには前日午後8時には寝なければならなかった。 ところが、日本時間で20日午後7時過ぎ開始の大リーグ開幕戦を「見ないわけにはいかなかった」と河村蒼太内野手(2年)。宿舎で同室のチームメート2人とテレビ観戦し、「少しだけ寝る時間が遅れてしまった」と明かす。 河村内野手は「有名なメジャーの選手を抑えていたダルビッシュ選手の球をしっかり捉えた大谷選手。本当に2人ともすごかった」と興奮したという。就寝時間は1時間ほど遅れたが、無事に午前4時に起き、東海大福岡戦では頭部に死球を受けた中川春輝内野手(3年)に代わって三回から三塁の守備に就き、勝利に貢献した。「大谷選手や先輩たちのおかげで不安なくプレーできた」と笑顔を見せた。 ◇「あんなに注目されている中で」 試合を見て自身のプレーに生かした選手も。宿舎で1人でじっくりと観戦した広陵の田村夏芽外野手(3年)は、三回に大谷選手が決めた二盗に注目。「完全に盗んでいた。あんなに注目されている中で結果を出すなんて……」と感心した。 さらに、「世界から注目されているのに、野球を楽しんでいるのが画面からも伝わってきた。自分も見習いたいと思った」。田村外野手も21日の高知戦では一回に落ち着いて二盗を成功させたが、「僕は盗むのが得意じゃないので、スピードを生かした。大谷選手に少しでも近づけるように努力したい」と謙虚だった。 広陵の枡岡憲志外野手(3年)も宿舎で観戦した。「大谷選手は詰まっても振り切るところがすごいなと思った。自分も詰まっても、しっかりヒットにできるようにしたい」。打席に入る自身に重ね合わせながら画面を見つめたという。 そのかいあってか、高知戦では九回表に代打で登場し、左翼方向への安打を放って貴重な追加点につなげた。「相手投手はコントロールが良かったので、ストライクはしっかりフルスイングしようと心がけた」と笑顔を見せた。【森野俊】