4年で別れた元夫は金欠で根なし草。難病まで抱えた彼を見捨てられず、手を貸し続けて早16年
◆自分の決断を呪わずにいられない 私たちは夫婦に戻った。夫の病は難病のため、効く薬はない。それでも、医師が飲め、という薬をまじめに飲んだ。 すると、食欲が止まらない。みるみる体重が20キロ増えた。もはや以前の面影はない。性格も変わってしまった。それも薬の副作用の一つ。 本には「攻撃的になる」と、1行で済まされているのが腹立たしい。一緒にいる身になってみろ。いつも、相手が怒っているのだ。 彼の着ぐるみを着た別人がそこにいるようだった。薬のおかげで命を長らえたけれども、夫は死んだのと同じなのかもしれない。 それでも以前と同じように、週末は一緒に出掛けていたが、最近、夫が歩けなくなった。薬が大腿骨の骨頭をダメにしてしまったのだ。病名は「特発性大腿骨頭壊死症」。 これもまた、国の指定難病である。彼は、「俺、ふたつの難病持ちになった」と笑ったけれど、まったく自慢にならない。 来月、夫は人工関節に取り換える手術を受ける予定だ。でもその後、歩けるようになるかはまったくわからない。 歩けなくなった人に向かって、「お世話をするのはもうやめます」なんて言えるものか。あの時の自分の決断を呪わずにはいられない。
****** ◆自治体に相談も 只見さん(仮名)は約12年にわたり元夫の面倒を見ていますが、同様に家族や知人の生活を支えているという方も少なくないのでは。 共倒れになる前に、頼れる機関や制度がないか、早めに考えてみることも大切です。 心身の障害を除去・軽減するための医療について、医療費の自己負担額を軽減する自立支援医療制度があります。精神通院医療、更生医療、育成医療の対象者に当てはまる場合は、医療負担が軽減するかもしれません。 厚生労働省HP(自立支援医療)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/jiritsu/index.html その他、働けなくなった時の国の保証制度として、病気や怪我の治療で働けなくなってしまった場合の傷病手当金や、年齢を問わずに国が支給する障害年金もあります。 各自治体の相談窓口などを頼りつつ、自分の生活が維持できるような制度を検討してみてはいかがでしょうか。
只見道子