三浦佳生、最高時速が出た会場で狙う表彰台の頂点。“俺”の全日本は「誰にも負けないという気持ち」で挑む
12月20日から開幕する全日本フィギュアスケート選手権。 その全日本で去年、フリーで圧巻の演技を見せたのが日本フィギュア界の未来を担う一人、三浦佳生(19)だ。 【写真を見る】三浦佳生にインタビューする宇野昌磨
三浦の武器は圧倒的なスピード
2023年の四大陸選手権では、ネイサン・チェンの記録を塗り替える、17歳8カ月で史上最年少優勝を飾る。 さらにその年の世界ジュニア選手権で、日本人としては宇野昌磨さん以来、8年ぶりとなる優勝を果たすなど、確かな実績を積み上げ、昨シーズンは、世界選手権に初出場。 そんな彼の最大の武器は、圧倒的なスピードとそのスピードを生かしたキレのあるジャンプ。今シーズンはケガを抱えたスタートになったが、これまでも三浦はそうした場面で強さを発揮してきた。 「良くも悪くも逃げ場がないのでやるしかないという気持ちになる。そういうときこそ、力を出せるのは自分の強み」 持ち前のスピード感と爆発力を発揮し、全日本で三浦はさらなる飛躍を誓う。
ようやくコントロールできてきた
高性能エンジンを積んでいるような馬力あふれるスタイルから、三浦についた異名は“ランボルギーニ”。 三浦にインタビューした宇野昌磨さんも「彼のスピード感やそこから繰り出されるジャンプのダイナミックさは一番目を引くポイント」だと評価する。 また、宇野さんは「スピードを出すことは力も体力も使います。そのスピードが速ければ速いほどジャンプをコントロールするのも難しく、デメリットばかりなんですよ。ただ彼はそういったデメリットをあまり感じさせない」と話す。 2022年の全日本選手権で選手それぞれの最高時速を計測したところ、三浦が全選手のなかで一番速かったというデータもある。 ただ三浦自身もスピード感を武器と自覚しながら、うまく扱えていなかった時期もあったと振り返る。 「生まれ持った能力とまではいかないですが、もとからスピードを出して跳んだ方が跳びやすいという思いで、ずっと練習してきました。だからこそなのか、なかなか安定しない時期もあって、ようやくコントロールできてきて、スピード感が徐々に自分の武器になりつつある。 特に最高時速が出た2022年の全日本はおそらくショートだと思います。あの試合は結構、吹っ飛ばされて、2本4回転転んでショート13位でした」 2022年の全日本と今回は同じ会場、大阪府門真市「東和薬品RACTABドーム」で行われる。そして2022年当時、宇野昌磨さんが言っていたという言葉を三浦は思い返す。 「あのとき昌磨くんが“温度で氷が変わって硬くなっている”みたいなことを言っていたと思うんですけど、昌磨くんはその辺りを調整していた。でも自分はなりふり構わずスピードをパンって出して跳んで失敗…みたいな感じで。今年も同じ会場だからこそ、注意していきたい」