家電値下げ競争は終わる?パナに続き日立も 消費者に「いいこと」は?
さて、一方で業績への影響はどうなのだろうか? パナソニックは「価格指定制度の導入も奏功して2022年度は、白物家電全体の利益を200億円押し上げる効果があったとみている」という。また、新製品のサイクルは従来1年だったところから2~3年に伸びたとしている。 「価格指定は業界の悪い循環を変えるスイッチだった」とパナソニック広報は言う。「持続可能な形に業界全体変えていかなきゃいけない」。 そして、日立GLSがパナソニックに続いた。高付加価値、オンリーワン製品で「価格指定」。まずシェアの高い「ドラム式洗濯乾燥機」と競合他社では扱いの少ない「紙パック式のクリーナー」を「値下げしない商品」にしている。 このあとも対象を拡大し、ことしの10月までに白物家電(エアコンを除く)の1割(売り上げベース)を「価格指定」の対象とする目標だ。
■「値付け」のこれから
価格指定制度が進むと高価格商品ばかりになるのか?消費者としては気がかりだが、パナソニック広報は、「そういうことではない」と説明する。 「需要は二極化している。消費者は自分の価値観に合うものへの出費は惜しまない。そのかわり、ここはこだわらないというゾーンにはお金をかけない。両方に応えたい」。 ロシアのウクライナ侵攻による影響で原材料やエネルギー価格があがり、円安もあわさって、物価上昇が本格化してから2年あまり。賃上げも2周目に入り、政府による「デフレ脱却宣言」の検討も始まるのではないかという声も聞こえてくる。 物価高と円安と賃上げ(そして利上げ)で、「値段」に影響する多くの要素が動いている今、値上げ、値下げ、だけでない、「値段のあり方についての工夫」が、まだまだ企業から出てきそうだ。