過去の自分を救いたい SKY-HIが他人をプロデュースしはじめた理由
「装飾」に葛藤してきたからこそ、自分らしくありたい
――2005年にAAAとしてデビュー後、並行してラッパーとしての活動もされていますが、自分で決めた道を進む中で、悩みなどはありましたか。 なんでか分かんないけど、人間は見たものをそのまま見ることをしてくれないですよね。例えば、人を説明する時に「〇〇の誰々」って言う。修飾語だったり、装飾だったり、帰属するものだったりを、その人の名前の前に付けるんです。“アイドルの○○”“ラッパーの○○”“○○からも評価された○○”。そういう装飾がないと人を語れないのが人間だと思いますが、僕にとっては、そういった既存の装飾の存在が息苦しかったです。 ――そういった思いが、BMSG設立へとつながっていったのですか? それは多大にあります。息苦しい思いがあったので、「Be My Self Group」という言葉の頭文字から「BMSG」という会社を作りました。 自分は今まで、アイドルとして見られたくないとか、ほかのラッパーと括られたくないとか、そういった葛藤を抱えてきました。既存の装飾から脱して、自由になりたいと思っていたんです。でもそう思うこと自体、いま自由じゃないことを証明しちゃってるんですよね。 「~されたくない」という不純な感情は、クリエイトの純度を濁らせていきます。僕は曲の中で何度も「自分でありたい」と歌っていましたし、その頻度がどんどん増えていって……。それは自我の喪失というか、すごく危ないことだと感じました。だから、「Be My Self=自分のままでいろ」という言葉を自分にもちゃんと課していこうと思ったんです。 なぜ設立が昨年のタイミングだったかというと、自分が生きたいように生きるべきという考えを貫く覚悟をするのに、時間がかかったからです。やっとその覚悟ができました。もうそれこそ3年、いや、着想から言ったら5年ぐらい。やらなくてはいけないとは思っていたんですよね。それをしないと、自分はダメだという強い気持ちはあったので。 でも、それ相応の覚悟を持って挑むということに対して「あ、これ怖いな」と思ったのも事実です。世の中で「怖がらずに進め」なんて言葉を聞きますが、それってただの無謀ですよね。自分が抱えるべきリスクとか、背負うべき責任とかに対して不誠実であるように思います。だから僕は「怖くても進め」と言いたい。……でも、怖いのってすごいストレスがでかいから、もう嫌なんですよ。まだしばらく続きそうですけどね。