映画「アイミタガイ」黒木華さんインタビュー 親友を亡くした喪失感の中に「温かい気持ちになれる作品」
時間を忘れさせてくれるのが本の魅力
――梓が一歩踏み出すシーンもありますが、今まで黒木さんが一歩踏み出した経験は? 大学時代に(劇作家で演出家の)野田秀樹さんのワークショップに行ったことです。その後、野田さんの舞台のオーディションを受けて、そこから役者としての私の人生が始まりました。行っていなかったら今ここにいませんし、自分の中で一歩踏み出した瞬間でした。 ――黒木さんは本屋さんによく行かれるそうですね。 昔から本が好きで、本屋さんも好き。本屋に行くと、表紙を見てジャケ買いや帯買いをすることもあります。以前は、その時々で、気になる作家の方の本をかたっぱしから買って読んでいた時期がありました。ある時期は沼田まほかるさん、またある時期は吉田修一さん、というようにその時期ごとにハマった作家の本を読んでいましたね。 ――最近、気になる本はありますか? 読み始めると、集中して一気に読んでしまうのですが、最近は忙しくてあまり本を読む時間がなくて。そんなときに「黒木さんは好きかもしれない」と、詩人のシルヴィア・プラスの長編小説『ベル・ジャー』(晶文社)を知人からおすすめされたので、これから読もうと思っています。 ――お好きな本の傾向としては、人間味にあふれた内容のものが多いですか? そうですね。やっぱり物語が好きで、人間の心の機微がわかるものをよく読みます。そういう意味において、ジャンルは問わず、ホラー作品も読みますね。本を読んで、「あの人がこうなるんだな」と展開を予想したり、物語の結末を想像したり。普段は、読書や舞台鑑賞、おいしいご飯を食べに行くことが息抜きになっていて。なかでも、時間を忘れさせてくれるのが、本の魅力であり、楽しさですよね。
お話を聞いた人
黒木華(くろき・はる) 俳優 1990年3月14日、大阪府生まれ。2010年、NODA・MAP番外公演「表に出ろいっ!」でデビュー。2014年、山田洋次監督作小さいおうち」で、第64回ベルリン国際映画祭最優秀女優賞(銀熊賞)を受賞。同作と15年の「母と暮せば」で日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を2年連続で、20年の「浅田家!」でも同賞を受賞。主な作品に、映画『日日是好日』(18)、ドラマ「重版出来!」(16)、「凪のお暇」(19)、現在放送中のNHK大河ドラマ「光る君へ」では源倫子役を演じている。待機作に映画「八犬伝」10/25公開)がある。
インフォメーション
「アイミタガイ」 11月1日(金)より、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー 出演:黒木華、中村蒼、藤間爽子、安藤玉恵、近藤華、白鳥玉季、吉岡睦雄、松本利夫(EXILE)、升毅、西田尚美、田口トモロヲ、風吹ジュン、草笛光子 原作:中條てい『アイミタガイ』(幻冬舎文庫) 監督:草野翔吾 脚本:市井昌秀、佐々部清、草野翔吾 音楽:富貴晴美 公式サイト https://aimitagai.jp/ 公式X https://x.com/aimitagai_movie
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