松尾潔「Border Song」は今聴くべき曲!同じ誕生日アレサ・フランクリンとエルトン・ジョンが邂逅
ビヨンセよりも多いグラミー賞獲得数
アレサ・フランクリンがいかにすごい人かという話をしていますが、グラミー賞は一つのわかりやすい指標になるかと思います。今のところかのビヨンセもアレサの回数を抜いていません。『Rolling Stone』というアメリカのカルチャーマガジンでよく「歴史上最も偉大なアルバム」とか「最も偉大な楽曲」という恒例の企画がありますが、アレサ・フランクリンは1位の常連です。 あと「ロックの殿堂」と呼ばれるRock and Roll Hall of Fameに女性アーティストとして初めて入りました。つまり彼女の場合は実力、人気、販売力、そして影響力、全てが満点といっていいでしょう。ただ、彼女の素晴らしい歌声の裏側には美しいストーリーばかりではなかったということをお話しておきます。
エルトン・ジョンとコラボレーション
そんなアレサ・フランクリンで、今日もう一つ紹介したいのは、アレサと同じ誕生日、3月25日生まれの偉大なミュージシャン、エルトン・ジョンとのコラボレーションです。彼もその半生が『ロケットマン』という映画で描かれました。 エルトン・ジョンの初期のヒット曲「Border Song」は、彼が北米に進出するきっかけになった曲として、よく紹介されます。この曲を早い段階でアレサ・フランクリンはカバーしています。アレサのファンにとっては「Border Song」というタイトルよりも、サブタイトルで、歌詞に出てくる一節"HOLY MOSES"の方で知られています。 エルトン・ジョンはクラッシックの神童と呼ばれましたが、同時にアメリカ黒人音楽との出会いもあって、ポップミュージックの歌い手、作り手としての才能を開花させていった人です。「Border Song」はイギリス人である彼がアメリカ黒人音楽=ゴスペルに接近した、わかりやすい証となる1曲ですが、それを本物のゴスペル天才少女アレサが歌うという、素晴らしいコラボレーションなっています。 この曲の歌詞は、社会や人の生きる世、宗教、こういったものの矛盾に気づいて、自分の行いを反省し、改心して生きていくことによって、ストレスが少なく、罪の少ない人生を歩めるんじゃないかという内容なんです。 人種差別についてストレートに言及した曲でもあり、この当時まだ若かった2人が邂逅を遂げたこの「Border Song」という曲が、今こそ広く聴かれるべきタイミングじゃないかなと思っています。アレサ・フランクリンとエルトン・ジョン、2人の誕生日に合わせて「Border Song」を紹介しました。