蔡総統の太平島視察 国安局長「推奨しない」=国民党議員団が訪問呼びかけ/台湾
(台北中央社)野党・国民党の立法院党団(国会議員団)は19日、蔡英文(さいえいぶん)総統に対し、5月20日の退任を前に国土の最南端にある南シナ海・南沙(スプラトリー)諸島の太平島を視察し、主権を示すよう呼びかけた。政府の情報機関、国家安全局の蔡明彦(さいめいげん)局長は21日、地政学的な複雑さや飛行の安全などへの懸念を理由に、現時点では蔡総統の太平島訪問を推奨しないとの立場を示した。 立法院(国会)外交・国防委員会への出席前に報道陣の取材に応じた。 蔡局長は、蔡総統の太平島訪問に当たり、同局は主に二つの面を考慮していると説明。1つ目は南シナ海の地政学的な立ち位置が比較的複雑であることだとし、蔡総統の太平島上陸が情勢を激化、緊張させる動きだと国際社会から解釈され、台湾の外交上の利益に影響が出るのではないかという点だとした。二つ目は南シナ海の軍事化の程度が非常に高いことだとし、台湾本島から太平島までの1600キロの間で、総統を乗せた航空機に飛行上や安全上の問題がないかを評価する必要があると語った。 蔡局長は、もしこの二つの構造的問題が解決できず、不確定要素が低減できないのであれば「現時点では総統の太平島訪問を推奨しない」と述べた。 (呉書緯/編集:名切千絵)