【Wリーグプレーオフ】富士通レッドウェーブの町田瑠唯、苦節13年でようやくたどり着いた日本一と今季遂げた2つの成長
移籍選手たちに支えられて育まれた自らへの自信
富士通一筋13年目、31歳のベテランポイントガードは今シーズン、もう一つ大きな変化を遂げた。記者に「自分の何が成長したから優勝できた、と言えるものはありますか?」と問われた町田は、次のように話した。 「このチームで絶対優勝できるっていう自信。信じることを改めて学んだと言いますか。今までももちろん信じてやってきてましたけど、今年は優勝を経験した人たち(ENEOSサンフラワーズで優勝を経験した宮澤夕貴、林咲希、中村優花)が多いっていうのもあって、そこは心強かったし、本当にありがたかったです。私より年下の選手ばっかりなんですけど、『ルイさん、やっていいよ』と常に声をかけてくれたので、今年は今までよりも自信を持ってやれた年なのかなと思います」 つまり、チームメートを信じられるようになったということかと確認されると、町田は「私自身のことを、ですね」と答えた。「もちろんみんなのことは常に信じてますし、自分は本当にみんながいての選手だと思ってるので。今年は自分のことも信じることができたかなと思います」 東京五輪で世界中を沸かせ、WNBAでもプレーしたスペシャルな選手が「自信がなかった」と言うのだ。記者が問い直したのもうなずける。『自分がいるチームを10年以上勝たせられていない』という事実は、どんなスターからも自信を奪わせる圧倒的な事実なのだろう。町田はこうも話していた。 「入団したころは(2007年の)優勝を経験してる先輩がいたんですけど、その先輩たちが抜けた後は本当に経験者がいなくて、私なりに必要であろうことを伝えてはきましたけど、伝えきれなかった印象はありました。宮澤選手、林選手、中村選手が優勝するために何が必要かってことを、しっかりみんなに伝えてくれてましたし、何より『このチームは優勝できるんだよ』って信じてくれて、みんなに自信を持たせるような声がけをしてくれてたことが大きかったと思います。 今年は特に、みんなが今までより自信を持ってプレーしたり、それぞれの役割を試合でも明確に出せていました」 町田が「自分のことを信じられるようになった」とコメントしたあと、キャプテンの宮澤がイレギュラーにマイクを取って明かした。 「町田選手って『優勝したい』とか『優勝できる』みたいなことを記者会見とかで絶対言わないんですけど、今年は『優勝する』って言い切ったので、『あ、ルイさん変わったな』って思いました」 頼もしい仲間たちに支えられ、町田は31歳にして自らの壁を破り、新たな世界を見た。これから代表選考が始まるパリ五輪を含め今後の進化がますます楽しみになった。
青木美帆